山内弘隆

山内弘隆氏は、1955年生まれの日本の著名な経済学者であり、武蔵野大学経営学部教授、一橋大学名誉教授、一橋大学大学院経営管理研究科特任教授、そして運輸総合研究所長という要職を歴任しています。専門分野は公共経済学、交通経済学、公益事業論と幅広く、特にエネルギー政策や交通政策の分野で数々の重要な役割を果たしてきました。

学歴と職歴

山内氏は千葉県出身で、慶應義塾大学商学部を卒業後、同大学院商学研究科博士課程を単位取得満期退学しました。その後、中京大学経済学部専任講師、一橋大学商学部専任講師、助教授を経て、1998年に教授に就任しました。一橋大学では、2005年1月から2008年12月まで商学研究科長と商学部長を兼務し、大学運営にも深く関わりました。2016年には一般財団法人運輸総合研究所の所長に就任、2017年には一橋大学大学院商学研究科ホスピタリティ・マネジメント高度人材開発センター長も務めました。2019年に一橋大学を定年退職後、名誉教授の称号を得て、現在は武蔵野大学経営学部経営学科教授および武蔵野大学経営研究所研究員として後進の育成に励んでいます。

受賞歴

山内氏の研究業績は数々の賞によって高く評価されています。1988年に道路と交通論文賞経済社会部門を受賞したのを皮切りに、1990年には日本交通学会賞、1995年には日本不動産学会著作賞、1996年には交通図書賞、2002年には国際交通安全学会賞を受賞しました。2016年には総務大臣表彰と交通文化賞を受賞し、その多岐にわたる分野での貢献が認められています。

社会的活動

山内氏は、研究活動だけでなく、多くの社会的活動にも積極的に参加しています。一橋大学ガスエネルギー研究会委員長、航空政策研究会会長を務めたほか、スカイマーク株式会社の監査役も歴任しました。また、政府の審議会等にも多数関わっており、資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本政策分科会ガスシステム改革小委員会委員長、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会委員長、総務省情報通信審議会電気通信事業政策部会長などを務めました。さらに、公益社団法人日本交通政策研究会理事、財務省財政制度等審議会委員、総務省情報通信審議会委員、経済産業省調達価格等算定委員会委員、財団法人宿泊施設活性化機構観光分野政策形成総括、一般財団法人運輸政策局理事、消費者委員会公共料金等専門調査会委員、文部科学省文教施設における公共施設等運営権の導入に関する検討会主査、NHK受信料制度等検討委員会委員、日本道路協会理事、観光庁経営ガバナンスワーキンググループ座長、内閣特定複合観光施設区域整備推進本部特定複合観光施設区域整備推進会議議長など、多岐にわたる分野で要職を歴任しています。近年では、2020年に日本郵政グループJP改革実行委員会座長、2021年に郵政民営化委員会委員長を務め、2023年には運輸総合研究所研究アドバイザーに就任しました。

著書と翻訳

山内氏は、研究成果を積極的に出版しており、その著書は学術的な価値が高いものとして広く知られています。『航空運賃の攻防』（NTT出版、2000年）、『交通経済学』（竹内健蔵共著、有斐閣、2002年）、『パブリック・セクターの経済・経営学』（上山信一共編著、NTT出版、2003年）、『市場自由化と公益事業』（共著、白桃書房、2007年）、『交通市場と社会資本の経済学』（杉山武彦,竹内健蔵,根本敏則と共編著、有斐閣、2010年）、『公共の経済・経営学』（上山信一共編著、慶應義塾大学出版会、2012年）、『運輸・交通インフラと民力活用』（共編著、慶應義塾大学出版会、2014年）、『電力システム改革の検証』（共編著、白桃書房、2015年）などがあります。また、翻訳書にも携わっており、『電気通信の経済学』（桑原秀史・直江重彦共訳、文眞堂、1995年）、『国際航空輸送の経済学』（中西健一・塩見英治・高橋望共訳、成山堂、1995年）、『航空の経営とマーケティング』（共訳、成山堂書店、2009年）などがあります。

山内弘隆氏は、経済学の分野において、教育者、研究者、政策立案者として多大な貢献をしており、その活動は社会に大きな影響を与え続けています。

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