増田水力電気

増田水力電気株式会社の歴史と影響

増田水力電気株式会社は、1910年に設立され、1942年までの約32年間、秋田県の電力供給を担った企業です。創業者は松浦千代松で、彼は地元で葉たばこの仲買業を営んでいましたが、煙草専売法の施行を機に電力業界へ転身しました。この元々の事業を生かしつつ、水力発電に注力し、増田町とその周辺に電気を供給するインフラを整備しました。

設立の経緯

増田水電は、松浦が水力発電事業に挑戦する背景には、地元の長坂商店が自家発電を計画していたことが影響しています。これを目撃した松浦は、自らの事業拡大を決意し、専門的な知識がなかったため、当時の地元の資源を担う池田家から技術者を迎え、研究を進めました。様々なプロフェッショナルの協力を得る中で、1908年に事業設計起案を行い、最終的にはドイツのシーメンス社からの資金調達も実現しました。

設立当初の資本金は7万5,000円で、株主数も多岐にわたり、発電所は1909年に建設が開始されました。1910年11月には、初めて地域に電力供給が行われ、増田町と横手町で電灯が灯るという成果を収めました。

成長と拡大

1910年代には、需要の増加に応じて増資を重ね、1912年には22万5,000円、1917年には35万円、1919年には75万円に達しました。1920年代には、地域内の幾つかの小規模電力会社を合併し、発電能力を向上させながら供給エリアを広げ、最終的には秋田県南部の主要な電力供給者となりました。特に、1926年には北海道電灯や盛岡電灯といった大企業の進出があったにもかかわらず、生き残ることができました。

社会貢献と町営電気事業計画

増田水電は、その供給によって地域の産業発展にも寄与しました。地方経済にとっての電力の重要性が増す中で、町境を超える電力供給の必要性が高まり、周辺町村からも多くの要望が寄せられました。その結果、1919年には横手町で町営電気事業に関する議論が行われましたが、決定には至りませんでした。増田水電はその後も町営計画に対抗する形で寄付金を提供して票を固めるなど、その影響力を拡大させました。

統合と解散

しかし、昭和時代に突入すると、経済の混乱や不況が続き、電力需給が逼迫する中、1941年には政府主導で配電統制が開始されます。この政策により、増田水電は主要電力会社の一つとして、東北配電に統合され1942年には解散しました。これにより38年の歴史が終焉を迎えることになりますが、その間の地域社会への影響は計り知れません。

最後に

増田水力電気株式会社は、単なる企業の枠を超え、地域社会の生活と経済の基盤を支えた存在でした。彼らの努力による電力の供給は、後の東北地方の発展に寄与しました。現在も、その当時の活動の影響が地域に残り、増田町の歴史に刻まれています。

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