増田知

増田知（ますだ さとし / ち）

生涯

増田知は、1843年（天保14年）に壬生藩領内（現在の栃木県）で生まれました。明治時代に政治家として活躍し、初代横浜市長を務めた人物です。1911年（明治44年）3月6日に生涯を閉じました。

経歴

増田知は、壬生藩権大参事、名古屋県権典事、白川県権大属、熊本県二等属など、様々な役職を歴任しました。1886年（明治19年）9月には、神奈川県一等属から横浜区長に就任しました。その後、神奈川県橘樹郡長、東京府南多摩郡長も務めています。

横浜市長として

1889年（明治22年）4月1日に横浜市が市制を施行すると、市会では商人派と地主派が対立していました。その中で、多数派を占めた商人派によって、増田知は初代横浜市長に推されました。茂木保平、平沼専蔵も同時に選出され、県知事の決定により、同年6月18日に初代市長に就任しました。

同年7月22日に市役所が開庁し、横浜築港第1期事業が完了しましたが、市会内部の対立は激化しました。伊藤仁太郎率いる壮士連が商人派議員に辞職を求めるデモを起こすなど、混乱が続きました。市会は開会できず、8月にはガス局と報時所の維持方法に関する論争が勃発しました。横浜区会設置に関する諮問案も提出されましたが、親知事派の公民協会派の欠席により議事が不成立となるなど、機能不全に陥りました。市歳入出予算すら議定できない状況でした。

市長辞任

このような状況下で、住民による運動や全議員の辞表提出騒動が起こり、同年11月9日、監督官庁は市会解散を命令しました。増田知は、混乱の責任を取り、翌12月5日に辞表を提出し、市長の職を辞しました。初代横浜市長としての在任期間は非常に短いものでしたが、横浜市の初期における混乱期を象徴する出来事として、その名は歴史に残ることとなりました。

参考文献

南多摩郡 編『南多摩郡史』南多摩郡、1923年。
神奈川県県民部県史編集室 編『神奈川県史 別編1 人物』神奈川県、1983年。
歴代知事編纂会 編集『日本の歴代市長 : 市制施行百年の歩み』 第1、歴代知事編纂会、1983年。
横浜開港資料館編『よこはま人物伝 - 歴史を彩った50人』神奈川新聞社、1995年。

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