壬午軍乱

壬午軍乱（じんごぐんらん）

概要

壬午軍乱（じんごぐんらん）または壬午事変（じんごじへん）は、1882年に朝鮮の首都漢城（現在のソウル）で発生した大規模な反乱です。この事件は、高宗の王妃である閔妃を中心とした閔氏政権が、日本の支援のもとで開化政策を進めた結果、旧式の軍隊が不満を抱き、反乱を起こしたものです。財政難の影響で旧軍兵士への給料が遅れたことが、その引き金となりました。

閔氏政権は、新たに「別技軍」を設立し、日本から指導者を招聘しましたが、旧式の兵士たちは待遇の不平等を感じ、これが導火線となり暴動へと発展しました。さらには民衆も加わり、閔氏一族の屋敷や日本公使館を襲撃し、混乱は拡大しました。結局、高宗は王宮を脱出し、反乱軍は閔氏政権を瓦解させ、大院君を政権の座に復帰させました。

背景

李王朝下の朝鮮では、両班（貴族階級）が農民に対して過酷な搾取を行い、また外部からも日本や清国の商人による収奪が行われていました。このような背景で、国内の権力闘争が激化し、清国派、ロシア派、日本派といった勢力が権力を争っていました。国王高宗の父である興宣大院君と閔妃の激しい対立も、政局の不安定さを助長しました。

朝鮮の国論は、清の冊封国としての立場を維持しようとする守旧派（事大党）と近代化を求める開化派に分かれており、後者は日本の援助を受けて独立した近代国家を目指す急進的な立場を取る一方で、より穏健な親清開化派も存在しました。

軍乱の発生

閔氏政権は1881年に軍政改革を試み、新式軍隊を整備しましたが、旧軍の兵士たちとの待遇の不均衡が深刻な問題でした。特に、旧軍兵士への俸給が遅延し、大旱魃の影響で穀物が不足する中、彼らの不満は高まっていました。1882年7月23日、旧軍兵士らが暴動を起こし、その波は民衆にまで広がりました。

この乱は興宣大院君の教唆によって彼の政権を再興するためのものであり、反乱軍は閔氏の関係者だけでなく、日本人に対しても攻撃を行いました。

暴動の拡大と日本公使館襲撃

壬午軍乱の発生後、兵士たちは閔妃や閔氏高官の邸宅を襲い、日本公使館にもその影響が及びました。日本人の軍人や公使館員も命を落とし、混乱の中で多くの日本人が犠牲になりました。

特に、堀本少尉が殺害される事件は、反乱の過酷さを物語る一例です。このような状況の中で、日本政府は直ちに対応を迫られ、軍艦を派遣しました。

大院君政権の復活

反乱を制圧した清国軍は、朝鮮に対する宗主権を強め、閔氏政権を復活させる形で直接介入しました。これにより、朝鮮はより一層清国の影響下に置かれることになります。

日本の対応と済物浦条約

日本側は、今回の事件に対して清国との交渉を進め、済物浦条約を締結しました。この条約により、日本は賠償金を受け取り、公使館の護衛を目的とした日本軍の駐留を認めさせることに成功します。結果として、朝鮮の国際的な立場はさらに複雑化し、清国との関係も強まりました。

結論

壬午軍乱は、朝鮮の近代化と国際関係の変化に大きな影響を与えました。この事件を契機に、朝鮮は清国の影響を強めた一方で、日本との関係も再構築され、多くの側面で歴史的な転換点を迎えました。

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