夕暮 (初代神風型駆逐艦)

帝国海軍駆逐艦「夕暮」初代

「夕暮」（ゆうぐれ / ゆふぐれ）は、大日本帝国海軍が運用した神風型駆逐艦（初代）の15番艦として歴史に名を刻んでいます。後の初春型駆逐艦にも同名の艦が存在するため、区別のために「夕暮 (初代)」あるいは「夕暮I」と表記されることがあります。

本艦の建造は、明治38年（1905年）の動きから始まりました。同年2月15日に製造番号第15号として命名され、3月11日には佐世保海軍工廠にて起工の運びとなります。その後、順調に工事は進み、11月17日に無事進水。進水からわずか11日後の11月28日には、正式に駆逐艦として類別されました。翌明治39年（1906年）5月26日に竣工を迎え、ここに「夕暮」初代は帝国海軍の一員として活動を開始したのです。

就役後の「夕暮」は、来るべき戦役に備えつつ任務に就きました。第一次世界大戦が勃発すると、本艦は極東における重要な戦いの一つである青島の戦いに参加しています。また、ロシア革命後の混乱期に行われたシベリア出兵においては、沿海州沿岸での警備活動に従事するなど、日本の国益を守るために各地を奔走しました。

時代が下り、艦齢を重ねた「夕暮」は、その役割を変化させることになります。大正13年（1924年）12月1日、本艦は駆逐艦籍から掃海艇へと類別を変更されました。掃海艇としての任務を数年務めた後、昭和3年（1928年）4月1日をもってついに帝国海軍から除籍されます。同年7月6日には「廃駆逐艦第7号」と仮称され、既に老朽化が進んでいたことから、10月12日には廃船が正式に認許されました。そして、昭和4年（1929年）11月12日に売却。その後の昭和5年（1930年）1月23日、千葉県君津沖にて漁礁として海中に沈められ、艦としての長い生涯に幕を閉じました。

「夕暮」初代の艦長を務めた人物は多岐にわたります。竣工後の初代駆逐艦長は守永喜三郎大尉。その後、玉岡吉郎少佐、丸尾剛大尉（兼任）、中山友次郎大尉、大金実大尉（兼任）と引き継がれました。さらに、小沢八郎大尉、武久完大尉（兼任）、副島村八少佐、岩村兼言大尉、広瀬彦太大尉、有地十五郎大尉、石川哲四郎大尉、高橋真十郎大尉、今泉美啓大尉、鎌田喜志衛大尉、岸本鹿子治大尉、中込育三大尉、実吉敏郎大尉、柳原信男大尉、杉山六蔵大尉、横山茂少佐が駆逐艦長として指揮を執りました。掃海艇へ類別変更された後も、秋山輝男大尉、木村昌福大尉といった掃海艇長が本艦の指揮を執っています。彼ら多くの指揮官たちの下、「夕暮」はその任務を遂行しました。

もう一度検索