夕陽が泣いている

夕陽が泣いている

「夕陽が泣いている」は、日本の人気グループサウンズであるザ・スパイダースが、1966年9月15日にシングル盤としてリリースした楽曲です。彼らのキャリアの中でも特に大きな成功を収めた代表曲の一つとして知られています。

楽曲解説

この楽曲の作詞・作曲は、日本の歌謡界で数多くの名曲を生み出した浜口庫之助氏が手がけました。

もともとは、ザ・スパイダースのメンバーが出演した日活映画『涙くんさよなら』（1966年7月公開）の劇中歌として使用するために作られたものです。劇中でスパイダースのメンバーが歌唱しました。

楽曲の着想には、ユニークなエピソードがあります。ホリプロの創業者である堀威夫氏によれば、ある酒宴の席で浜口庫之助氏が「夕焼けというのはね、お日様が泣いているんだよ」と語った言葉が、この曲のインスピレーションとなったとされています。

当時のザ・スパイダースは、洋楽からの影響を強く受けた先進的なサウンドを特徴としていましたが、この曲ではそれまでの路線から大きく転換し、感傷的な雰囲気を湛えたフォーク・バラードへと挑みました。この変化は、歌謡曲への志向が依然として根強かった当時の音楽シーンを逆行するかのような試みでした。

メインボーカルは、通常とは異なり、メンバーの堺正章がソロで担当しました。彼の情感豊かな歌声が楽曲の世界観を見事に表現し、リスナーの心をとらえました。その結果、本楽曲は大きな社会現象となり、レコードは公称で120万枚を超える驚異的なセールスを記録、グループにとって最大のヒット曲となりました。

カップリング曲

シングルのB面には「チビのジュリー」が収録されました。こちらもA面と同じく、浜口庫之助氏が作詞・作曲を手がけています。

「チビのジュリー」では、ザ・スパイダースのもう一人のボーカリストである井上順がソロで歌唱を担当しています。

収録曲

本シングルに収録された両楽曲の情報は以下の通りです。

1. 夕陽が泣いている
作詞・作曲：浜口庫之助
2. チビのジュリー
作詞・作曲：浜口庫之助

主なカバー

「夕陽が泣いている」は、そのメロディーと歌詞の美しさから、時代を超えて多くのアーティストによってカバーされています。以下にその一部を挙げます。

チャコとヘルス・エンジェル（1974年）
メイジャー・チューニング・バンド（1977年のメドレー「ソウル・これっきりですよ!!」にて歌唱）
ザ・マイクハナサーズ（1989年のメドレー「ブルー・シャトウを君だけに」にて歌唱）
山崎ハコ（1997年、シングル「たどりついたら雨降り」c/w）
鳥羽一郎（2003年、アルバム『時代の歌』収録）
神無月（2008年、近田春夫&ハルヲフォンのアルバム『リメンバー・グループ・サウンズ』収録）
小島麻由美（2014年、ミニアルバム『渚にて』収録）
浜田真理子（2018年、アルバム『LOUNGE ROSES 浜田真理子の昭和歌謡』収録）
吉幾三（2019年、アルバム『あの頃の青春を詩う vol.4 グループサウンズ編』収録）
レーモンド松屋（2019年、アルバム『歌謡クラシックスIII ～俺たちのGS～』収録）

同名映画について

楽曲の大ヒットを受けて、1967年には日活によって同名の青春歌謡映画『夕陽が泣いている』が製作され、公開されました。

この映画にはザ・スパイダースのメンバーが本人役として出演しており、若者たちが音楽バンド活動を通じて青春を謳歌し、様々な出来事に直面する姿が描かれています。

主な出演者

映画に登場する主要なキャストは以下の通りです。（配役名＝出演者）

山田健次＝山内賢
伊吹洋子＝和泉雅子
ザ・スパイダース＝田辺昭知とザ・スパイダース
新庄秀夫＝和田浩治
伊吹毅＝横内章次
野村信一＝杉山元
吉川正夫＝木下雅弘
笠原明子＝志摩ちなみ
小池＝杉江弘
赤間＝榎木兵衛
シゲ＝市村博
医師＝長弘

スタッフ

映画製作に携わった主なスタッフは以下の通りです。

監督：森永健次郎
脚本：山崎巌
音楽：浜口庫之助

関連項目

1966年の音楽

この楽曲と映画は、日本のグループサウンズ黄金期を語る上で欠かせない存在となっています。

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