外山寿美代

外山寿美代（とやますみよ）は、日本の元女子プロレスラー。1969年 3月20日、神奈川県相模原市に生まれた。身長160cm、体重65kg、血液型はO型。プロレスラーとしては主にJWP女子プロレスに所属し、本名の外山寿美代に加え、「さぶろう」というリングネームでも活動した。プロレスキャリアを通じて、そのパワフルなファイトと個性的なキャラクターで多くのファンを魅了した。

来歴

外山のプロレスラーとしてのキャリアは、1988年に全日本女子プロレスでスタートした。本名である外山寿美代としてデビューした彼女は、同年のデビュー組、いわゆる「昭和63年組」の一員として、井上京子、井上貴子、吉田万里子といった後に女子プロレス界の中心となる選手たちと同期であった。しかし、キャリアの初期に負傷に見舞われ、一度プロレスのリングから離れることを余儀なくされる。

プロレスへの情熱を失うことなく、外山は再びリングを目指す。1990年には、当時存在したジャパン女子プロレスのオーディションに参加し、合格を果たす。再デビューに向けて動き出すが、ジャパン女子プロレスは間もなく団体としての活動を停止し解散に至り、再デビューの夢は一旦途絶えた。しかし、外山は諦めなかった。

ジャパン女子解散後、外山は新たに旗揚げを控えていたJWP女子プロレスに練習生として参加する。団体の設立準備段階で行われた合宿にも参加し、厳しいトレーニングを重ねた結果、1992年に念願のプロレスラーとしての再デビューをJWPで実現させた。JWPにおける同期には、後に団体を牽引する存在となるキャンディー奥津がいた。

JWPでの活動を再開したものの、外山は再び度重なる怪我に悩まされることになる。相次ぐ負傷による欠場はプロレスラーとしての活動に大きな影響を与え、キャリアは一時的に低迷を余儀なくされた。この苦境を打開すべく、外山は大きな変身を遂げる。

「さぶろう」への変身と活躍

転機が訪れたのは1995年。それまでの外山寿美代というリングネームから、個性的なキャラクター「さぶろう」へと改名・変身を遂げる。男性的な風貌とハスキーな声を活かし、江戸っ子気質の大工というユニークなキャラクター設定で新たな魅力を開花させた。この「さぶろう」としての活動はファンから大きな支持を受け、外山のプロレスキャリアにおける大きなハイライトとなった。

さぶろうに変身後、外山は妹分キャラクターの能智房代（当時のリングネームはふさちゃん）と「さぶちゃんふさちゃん」というコミカルなタッグを結成。このユニットはJWPの前座戦線で会場を大いに盛り上げ、外山（さぶろう）の新たなキャラクターを確立させた。

同時期には、新たに設立されたGAEA JAPANとの団体交流戦・対抗戦が活発化。外山（さぶろう）はGAEA JAPANのボンバー光とは互いを意識するライバル関係となり、シングルマッチ、タッグマッチを問わず数多くの熱戦を展開した。この抗争を通じて、外山は両団体の交流戦における重要な存在となり、リングの最前線に立つ機会が増加した。

引退とリング外の活動

「さぶろう」として活躍した後、外山はプロレスラーとしてのキャリアに終止符を打つことを決断する。そして1996年 12月28日、後楽園ホールで開催されたJWPの大会にて、タッグパートナーであった能智房代と共に引退セレモニーを行い、リングから去った。

外山のキャリアにおける特筆すべき点として、プロレスラーとして活動する傍ら、第二種運転免許（当時は大型免許に相当）を取得していたことが挙げられる。現役時代から引退後にかけて、JWP女子プロレスの巡業バスの運転手としても重要な役割を担っていた。全国を巡るレスラーたちを乗せ、安全に目的地まで送り届けるその姿は、リング上の姿とは異なるもう一つの顔であった。

また、実家が営む大工の家業を手伝っていた時期もある。特に全日本女子プロレスを引退し、JWPで再起を図るまでの期間は、家業に携わりながらトレーニングを続けていたという。プロレスラーとしてだけでなく、様々な顔を持っていた外山寿美代は、その個性的なキャラクターと異色の経歴で、多くの人々の記憶に残る存在となった。

得意技

アームボンバー
河津落とし

入場テーマ曲

「SHOT IN THE DARK」…「PURE HEART」JWP女子プロレステーマ曲集に収録
「森の石松～津軽口説組曲」竜童組

外山寿美代