外遊

外遊について

外遊（がいゆう）は、留学や研究、視察などの目的で外国を訪れることを指します。この語は特に公人が外交活動のために他国を訪れる際によく使われます。外遊には二国間および多国間の訪問が含まれ、「遊」という言葉は他の土地に出かけることを指し、遊説や遊学などと同様の用法があります。ただし、日本においては、外遊が海に遊びに行くことを意味するわけではありません。

日本の政治において、外遊は時に国民から誤解され、「責任放棄」や「物見遊山」などと批判されることがあります。このため、外遊という言葉の使用について改めるべきだという意見もあります。

外遊の歴史

日本の内閣総理大臣として初めて外遊を実施したのは、1943年（昭和18年）に大東亜戦争中にアジアの占領地を訪問した第40代内閣総理大臣の東條英機です。戦後、1951年（昭和26年）に第49代内閣総理大臣の吉田茂が外遊を行ったのを皮切りに、外遊は首相の職務の一環として定着していきました。特に首相の外遊先としてはアメリカが選ばれることが多く、日米関係の重要性から、首相就任後にアメリカに訪れることが慣例とされていました。

国会議員の外遊は、国会の閉会中や自然休会中に行われることが一般的です。特に、ゴールデンウィークや夏季休暇、年末年始などの政治休戦の期間には多くの議員が外遊に出かけます。

外遊に関する規範

日本における閣僚の外遊は、閣議了解が求められ、国会への報告も必要です。また、国会開会中に国会議員や閣僚が外遊を行う場合は、議院運営委員会の了承を得るという慣例があります。そのため、外遊先を公開せずに急に行うことはほとんどありません。例えば、2023年には第101代内閣総理大臣の岸田文雄が慣例を破りウクライナに電撃訪問しましたが、その後に新たな報告規定が設けられることになりました。

議員が適切な許可を得ずに外遊を強行した場合は、懲罰の対象となることがあります。これには、野党のみならず自民党の議員も含まれます。近年、具体的には西田昌司氏やアントニオ猪木氏が無許可での訪問により懲罰を受けた例があります。

東京都知事の外遊

2014年から2016年にかけて東京都知事だった舛添要一氏は、都市外交を行うために外遊を積極的に実施しましたが、その内容が東京都民の生活向上には結びつかず、多くの批判を受けました。これにより、彼の任期途中での辞職の一因となりました。

天皇・皇族の外遊

近代日本では、明治時代から天皇や皇族の外遊が行われています。初めての外遊は1907年に皇太子が大韓帝国を訪れたことに始まり、昭和天皇は1971年にヨーロッパ諸国を訪問しました。これ以降、皇室外交が慣例化し、国際親善を目的とした訪問が増えています。

外遊の統計

戦後の首相による外遊の中で最も長い期間を持つのは吉田茂氏の52日間です。また、首相在任中に最も多く外遊を行ったのは安倍晋三氏で、81回の外遊記録を持ち、80の国・地域を訪問したことがあります。外遊は国際関係において重要な役割を果たしており、今後もその動向が注目されることでしょう。

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