外間寛

外間 寛（ほかま ひろし）は、昭和7年（1932年）10月9日に生を受け、令和4年（2022年）4月29日に89歳でその生涯を閉じた、日本の著名な法学者です。

専門分野は行政法であり、特にアメリカ合衆国の行政手続法に関する研究に深く傾注しました。法学者・橋本公亘に師事し、その学統を受け継ぐ形で、日本の行政法学の発展に重要な足跡を残しました。出生地は沖縄県那覇市首里です。

その学術的な経歴は、沖縄県立首里高等学校を卒業後、中央大学法学部で学び、1954年に卒業したことから始まります。その後、さらに研鑽を積むため東京大学大学院社会科学研究科公法専攻に進み、1960年に単位取得満期退学しました。同年、東京大学法学部にて助手として研究活動に従事しました。

翌1961年には中央大学法学部に転じ、専任講師に着任。1962年には助教授に昇任し、1968年には教授へと昇格しました。中央大学においては教育・研究だけでなく、大学運営にも深く関与しました。1987年から1991年まで法学部長を務め、その後1990年から1993年まで理事としても大学に貢献しました。1993年には第22代中央大学学長に選任され、1999年までその重責を担いました。学長退任後も、2003年に定年退職し名誉教授となったほか、総長、理事を兼任しましたが、2005年にこれらの職を退任しました。

中央大学での活動の傍ら、1984年から1987年まで日本比較法研究所の所長も務め、国内外の比較法研究の推進に尽力しました。

その学術的な功績は国際的にも評価され、1998年にはフランスのエクス＝マルセイユ第Ⅲ大学から、2000年にはセルビアのベオグラード大学から、それぞれ名誉博士号が授与されています。

研究においては、繰り返しになりますが、アメリカ行政手続法を主要なテーマとしました。師である橋本公亘先生の研究を引き継ぎ、その理論を行政実務や法改正の議論にも影響を与える形で発展させました。中央大学での最終講義では、「橋本公亘先生と行政手続法」と題して、師への深い敬意と感謝を語り、研究の源流を明らかにしました。

主な著作には、行政法に関する多くの単著、共編著、翻訳があります。

単著
『行政法講座 第5巻 地方自治・公務員』（有斐閣、1965年）

共編著
田中二郎・雄川一郎編『行政法演習』（有斐閣、1963年）に共著者として参加。
市原昌三郎・広岡隆と共編『ワークブック行政法』（有斐閣〈有斐閣選書〉、1976年）
小島武司と共編『オムブズマン制度の比較研究』（日本比較法研究所、1979年）
成田頼明他と共著『現代行政法（第5版）』（有斐閣、2002年）

翻訳
* E.E.チーサム著、渥美東洋、小島武司と共訳『必要とされるときの弁護士 : 現代社会における弁護士の使命と役割』（中央大学出版部、1974年）

長年の学術および教育への貢献、そして大学運営における功績が認められ、2008年11月には日本国政府より瑞宝重光章を授与されています。

2022年4月29日、89歳で逝去しました。

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