多久茂明

多久茂明（たく しげあき）

多久茂明は、江戸時代中期に活躍した佐賀藩の武士です。彼は、須古鍋島家と多久鍋島家という二つの重要な家系の当主を歴任しました。その生涯は、武士としての役割を果たす一方で、儒学を尊び、領内の教育と文化の発展に貢献したことで知られています。

生涯

元禄6年（1693年）10月16日、多久茂明は鍋島茂清の子として生まれました。幼少期から武士としての教育を受け、宝永2年（1705年）3月には、父・茂清の死去に伴い、須古鍋島家の家督を相続しました。この時、彼はまだ若くして家の長としての責任を担うことになりました。その後、正徳4年（1714年）には、多久茂村が実家の小城鍋島家を相続することになったため、藩主・鍋島吉茂の命により、叔父の茂族に須古家の家督を譲り、正室の実家である多久鍋島家（後多久氏）を相続しました。このように、彼は二つの家系の当主を経験するという稀有な経歴を持っています。

儒学の尊重と教育への貢献

多久茂明は、養父である多久茂文の遺志を継ぎ、儒学を深く尊重しました。正徳5年（1715年）には、茂文が建立した多久聖廟の祭費や、領内の文武稽古料として、花祭村と杵島村の内高200石を寄付しました。さらに、享保7年（1722年）には、椎原山を昌平山と改称し、聖廟の補修費用として寄付を行うなど、教育と文化の振興に力を注ぎました。これらの行動は、彼が単なる武士ではなく、領内の発展を真摯に願う人物であったことを示しています。

藩政への参加

享保8年（1723年）には、多久茂明は当役（請役家老）という藩の要職に就任しました。この役職は、藩政の中枢に関わる重要なものであり、彼の能力と藩からの信頼の厚さを物語っています。彼は藩政においても、その手腕を発揮し、藩の発展に貢献しました。

死去

元文4年（1739年）8月20日、多久茂明は47歳でその生涯を閉じました。短い生涯ではありましたが、彼は、武士としての務めを果たすだけでなく、儒学を尊重し、領内の教育と文化の発展に貢献した人物として、後世に名を残しました。

系譜

父：鍋島茂清
母：不詳
養父：多久茂文（1670-1711）
正室：曽雄 - 多久茂文の次女
長男：多久茂堯（1716-1769）

参考文献

小城郡教育会編『小城郡誌』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
* 小城藩日記データベース

多久茂明の生涯は、武士としての責任を果たしつつ、儒学を尊び、領内の教育と文化の発展に尽力した人物として、後世に語り継がれるべきでしょう。

もう一度検索