多久茂文

多久茂文（たく しげふみ）は、江戸時代前期から中期にかけての肥前国佐賀藩士であり、多久鍋島家（後多久氏）の4代目当主です。彼は、佐賀藩の2代目藩主である鍋島光茂の三男として、寛文9年（1670年）に誕生しました。幼少の頃から、武士としての教養を身につけ、後に3代多久邑主であった多久茂矩の養子となり、貞享3年（1686年）に家督を継ぎました。

茂文は、儒学者の武富咸亮や実松元林に師事し、学問に励みました。その学識の高さから、藩内における教育の重要性を強く認識し、東原庠舎と多久聖廟という二つの教育機関を設立しました。これらの施設は、藩士の子弟や地域住民の教育に大きく貢献しました。

茂文は、自身の血縁だけでなく、有能な人材を積極的に登用しました。鍋島元武の三男を自身の長女・千重子（本良院）の婿養子とし、茂村と名乗らせました。茂村は、茂文の死後、5代多久邑主を継ぎましたが、兄である小城藩4代藩主・鍋島元延が亡くなったため、5代藩主・鍋島直英となりました。そのため、茂文の次女・曽雄の婿である茂明が、6代邑主として多久家を相続しました。

正徳元年（1711年）、多久茂文は生涯を閉じました。彼の死後、その功績を讃え、明治44年（1911年）に正五位が追贈されました。茂文は、学問を奨励し、藩の教育水準向上に尽力しただけでなく、自身の家族や養子を通じて、佐賀藩の重要な役割を担い続けました。


系譜

父: 鍋島光茂（1632年 - 1700年）
母: 廉
養父: 多久茂矩（生年不詳 - 1690年）
正室: 彦市 - 鍋島直堯の娘
生母不明の子女
長女: 千重子 - 本良院、鍋島直英の正室
次女: 曽雄 - 多久茂明の正室
養子
男子: 鍋島直英（1699年 - 1744年） - 鍋島元武の三男
男子: 多久茂明（1693年 - 1739年） - 鍋島茂清の子

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