多久茂堯

多久茂堯（たく しげたか）は、江戸時代中期に活躍した武士であり、肥前国佐賀藩の藩士でした。多久鍋島家（後に後多久氏と称される）の7代目当主として、その家名を継ぎました。

生涯

多久茂堯は、多久茂明の長男として生まれました。元文3年（1738年）には、佐賀藩の重要な役職である当役（請役家老）に任命され、藩政の中枢を担うこととなります。元文5年（1740年）には、小城藩主・鍋島直英の娘である千吉と結婚しました。この結婚は、千吉の母親と茂堯の母親が姉妹であったという縁によるものでした。

寛延2年（1749年）12月、佐賀藩内では藩主・鍋島宗教を引き下ろそうとする陰謀が発覚し、その首謀者の一人とされた諫早茂行が一万石減封の上、蟄居処分となりました。この事件は、佐賀藩に大きな波紋を広げました。翌寛延3年（1750年）1月、茂堯は正室であった於久米（千吉）と離縁しています。その背景には、藩内の混乱と政情不安があったと考えられます。

同年6月、減封処分に反発した諫早家の家臣や領民たちが一揆を起こしました（諫早一揆、または諫早騒動）。この一揆は、藩政に対する不満が爆発したものであり、事態を収拾するために、茂堯は藩命により兵を率いて鎮圧にあたりました。この鎮圧において、茂堯は指導力を発揮し、一揆を鎮圧に導きました。

明和4年（1767年）6月には、藩政総督という重要な役職に任命され、藩政全般を統括する立場となります。藩政における彼の存在感は、ますます大きなものとなりました。しかし、明和6年（1769年）5月に病に倒れ、職を辞することになります。そして、同年8月6日に54歳で亡くなりました。彼の遺体は、菩提寺である円通寺に葬られました。

系譜

父：多久茂明（1693年 - 1739年）
母：曽雄 - 多久茂文の次女
正室：千吉（のち於久米） - 鍋島直英の娘
側室：山中氏
長男：多久兼連
次男：多久茂孝（1752年 - 1815年）
側室：田中忠右衛門の娘
三男：多久茂鄰（1759年 - 1827年）
四男：鍋島茂郷 - 太田鍋島茂恒の養子

参考文献

小城郡教育会編『小城郡誌』 - 国立国会図書館デジタルコレクション

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