多婁王

多婁王の生涯と治世

多婁王（たるおう、生年未詳 - 後77年）は、百済の第2代の王として28年から77年まで在位しました。彼は百済の初代王である温祚王の息子であり、10歳のときに太子に任命されました。温祚王が亡くなった後、彼は王位を継承しましたが、諡や名前は歴史に残されていません。彼の治世は戦争と農業の発展が特徴的でした。

治世初期と戦争

多婁王の治世初期、百済は北東方面にある靺鞨との戦闘に直面していました。特に30年と31年には激しい戦闘があり、多くの敵を討ち捕虜にすることに成功しました。しかし、時間が経つにつれて戦局は厳しくなり、54年には牛谷城を築き防衛を強化しました。

彼の統治の中頃、63年には東方への領土拡大を試み、娘子谷城まで勢力を伸ばしました。この際、新羅との会盟を試みましたが、受け入れられませんでした。

新羅との戦争

会盟の失敗後、64年には軍を派遣し、新羅の蛙山城を攻撃しました。残念ながらこの攻撃は失敗に終わり、南の方へ戦いを移しました。狗壌城では新羅の兵を撃退し、一時的な勝利を収めました。しかし、その後も蛙山城は新羅との争奪戦が続き、双方がこの城を奪い合う状況が続きました。最終的に蛙山城は新羅に奪回され、多婁王は77年に死去しました。

農業の発展

戦争だけでなく、多婁王は治世において農業の発展にも力を入れました。33年には初めて稲田を作成させたと記録されていますが、ここで言う「田」は日本の「畑」を指しており、本格的な稲作が始まるのは15世紀を待たなければなりません。また、38年の秋には穀物の不作を理由に私酒造を禁じたとされています。これは当時の農業事情を示す重要な出来事と言えるでしょう。

結論

多婁王は百済の発展に多大な貢献を果たした王であり、彼の治世は新羅との緊張関係や農業の進展を通じて印象深いものとなっています。彼は77年までその地位を維持し、国の内外の課題に取り組み続けました。多婁王の死後、百済は新たな時代を迎えることになります。彼の治世は、百済の歴史の中で重要な一ページを形成しています。

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