多家神社

多家神社（たけじんじゃ）の紹介

多家神社は広島県安芸郡府中町に位置する神社で、「埃宮」とも呼ばれています。この神社は式内社であり、名神大社また安芸国総社の後継社としての位置づけがあります。もともとは「おおいえ」と読まれていた「多家」という社名は、現在では「たけ」と訓じられていますが、歴史の中で「たが」という別の呼び名でも知られていたと考えられています。

祭神

この神社の主祭神は神武天皇であり、さらに安芸津彦命が安芸国を開拓した神として祀られています。また、相殿神には神功皇后、応神天皇、大己貴命が祀られています。

歴史

多家神社は、明治6年（1873年）に創建されました。この時点での社伝によれば、式内多家神社は神武天皇が東の征伐の際に7年間滞在した地に建立されたものとされています。古事記および日本書紀には「阿岐国」として記されている多祁理宮または埃宮の跡地に社殿が立てられたとされます。古代には多家神社は名神大社として認識され、『延喜式神名帳』にも名を連ねています。

中世に入ると、武士たちの抗争により神社の勢力は衰退し、その存在も忘れられることとなりました。江戸時代には、境内社である「たけい社」が松崎八幡宮に位置していた他、安芸国総社もまた多家神社の流れを継ぐと主張し、論争が生じました。この混乱を終息させるため、明治6年には両社が廃止され、現在の鎮座地である「誰曽廼森」で新たに「多家神社」としての社殿が設けられ、多くの神々が合祀されました。この際に古い記録はすべて焼却される運命にありました。翌年には県社に昇格しています。

神階

式内多家神社の神階は、天安3年（859年）に従五位下から従五位上へ、続いて貞観元年（859年）には従四位下に上昇しています。神階の記録は『日本三代実録』に見られます。

境内

現在の鎮座地「誰曽廼森」という名前は、神武天皇がこの地に滞在中に「曽は誰そ」と問うたことに由来しています。神社の本殿は三間社流造で、拝殿はひさしが特徴的な入母屋造です。どちらも屋根は銅板で葺かれています。歴史的には、社殿は広島城内に存在していた稲荷社のものであり、それが明治初年に移転しましたが、大正4年（1915年）に火事で失われ、その後再建されています。

宝蔵は檜皮葺きの入母屋造であり、ここに神輿が保管されています。この宝蔵は江戸時代初期に浅野氏が築いたもので、広島城の遺構の中では唯一現存している建物です。昭和29年（1954年）には県重要文化財に指定されています。

摂末社

境内には貴船神社（祭神: 高龗神、別雷神、大山津見神）や天神社があり、地域の信仰の中心となっています。

文化財

多家神社は、広島県指定の重要文化財（有形文化財）として、宝蔵が指定されています。

現地情報

広島県安芸郡府中町宮の町3丁目に位置し、交通アクセスは西日本旅客鉄道の天神川駅や矢賀駅から徒歩約20分です。

この神社は地域の歴史や文化を反映する重要な存在しており、多くの参拝者に愛されています。

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