多摩バス

多摩バス株式会社（英称:Tama Bus Co.,Ltd）は、かつて東京都八王子市に本社を置いていたバス事業者です。1999年4月1日、京王グループに属する西東京バスから分社化される形で設立されました。主な目的は、親会社である西東京バスから引き継いだ不採算路線の運営効率化にありました。設立当初の運行開始は1999年10月1日です。

事業開始から約9年間、多摩バスは西東京バスの青梅営業所および恩方営業所から移管された路線バスの運行を担いました。青梅地区では、拝島、福生、小作、秋川の各駅を主要な拠点とし、秋川・福生・青梅・御嶽方面の路線を担当。羽村市コミュニティバス「はむらん」の運行受託や、イオンモール日の出を経由する路線の運行も行っていました。恩方地区では、京王八王子駅、西八王子駅、高尾駅を発着点に、八王子北西部や高尾地区の四谷、大久保、宝生寺団地、繊維団地、美山町、陣馬高原下方面への路線網を形成。平日朝のレーン内急行や深夜バス、団地内循環運転など、地域の需要に応じた多様な運行形態を提供していました。この恩方地区の路線では、2007年9月30日よりPASMOが利用可能となりました。

多摩バスは路線バス事業に加え、西東京バスの高速バスおよび貸切バス事業も継承しました。夜行高速バスでは、新宿発着で大阪、高松、松山を結ぶ路線や、渋谷発着の金沢線などを運行。また、昼行便として八王子と羽田空港、成田空港を結ぶ空港連絡バスも担当し、これら高速バスの一部は共同運行会社との連携によって運行されていました。高速バス事業においては、2007年には京王八王子高速バスターミナルの廃止に伴う乗り場変更や、金沢線の経路変更など、様々な変化に対応しました。一方で、大阪方面の「トレンディ号」の愛称廃止・統合（2006年）、京都線の休止（2007年）、カジュアル便からの撤退（2008年）など、一部路線の見直しも行われました。

車両面では、一般路線バスに白地に青を基調とした独自の塗色を採用していました。ただし、西東京バスからの移管車両の一部は当初親会社の塗色のままで使用され、後に塗り替えられた車両や、2008年に西東京バス塗色で投入された車両も存在しました。使用メーカーは、いすゞ自動車、日野自動車、日産ディーゼル工業（現・UDトラックス）の3社で、様々な車種が投入されました。貸切・高速バス車両は、日野セレガや三菱ふそうエアロバス/エアロクィーンなどが導入され、京王グループ共通の貸切カラーが用いられていました。車両管理番号（社番）は、営業所記号、メーカー記号、導入年、通し番号を組み合わせた京王グループに準じた付番法則が採られていました。

多摩バスはその設立目的を果たした後、大きな事業転換を迎えます。2008年9月1日をもって、展開していた乗合バス事業の全てを親会社である西東京バスへ譲渡しました。これによりバス運行事業から撤退し、以降は土地や建物の賃貸・管理といった事業に専念する企業として存続しました。しかし、それも一時的な期間で、最終的には2011年9月1日付けで西東京バスに吸収合併され、法人としての多摩バス株式会社はその歴史を終えました。

本社は西東京バス本社ビル内に置かれ、バス運行部門としての拠点には青梅営業所（青梅市末広）と恩方営業所（八王子市下恩方）が存在しました。これらの営業所施設は、事業譲渡・吸収合併後も引き続き西東京バスの営業所として活用されています。

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