多米国平

多米 国平の経歴と功績

多米国平（ため の くにひら）は、平安時代中期に活躍した貴族であり、その生没年は明らかではありませんが、彼の役職や功績が多くの文献に記されています。国平は、まず姓を宿禰から朝臣へと改めており、当時の華やかな貴族社会においてその存在感を示しています。

国平の初期の経歴は、明経生としてスタートし、その後上野大掾としての任用がありました。天元5年（982年）には右少史に任ぜられ、これは彼の官歴の重要な第一歩となります。この際から、彼の職務は大きく広がり、15年以上にわたり史を務めることとなります。この職務を通じて彼は、朝廷内部の情報を管理し、貴族社会に貢献しました。

彼は寛和元年（985年）に従五位下に昇進し、その後大夫史へと格上げされ、永祚2年（990年）には正五位下に昇進し、さらには左大史にも任じられました。このような昇進は、彼の政治的手腕と朝廷内での信任の証であり、権力の中心に位置していたことを意味しています。

また、国平は摂政藤原兼家の家司を務める中で、兼家の腹心の一人として知られていました。彼は兼家から、次期の後継者について相談を受け、一緒に藤原道隆の推挙を行いました。このように、彼は藤原家の権力争いに深く関与し、歴史の流れに影響を及ぼしました。

道隆が政権にいる間には、国平は左京亮や播磨介・和泉守といった地方官職も兼任しており、地方政治にもその手腕を発揮しています。しかし、道隆と道兼の相次ぐ死去後、長徳元年（995年）に起こった長徳の変を経て、権力の中心が藤原道長に移ります。この時、国平は道長の家司となり、長保3年（1001年）には治国の功労により従四位下に叙せられ、それまでの卑姓氏族としては異例の昇進を果たしました。

その後は、阿波守や備中守といった受領を歴任し、長和4年（1015年）には春宮敦成親王の還御に際して正四位下に至っています。これらの役職を通じて、国平は貴族社会の中で確固たる地位を築いていきました。

官歴の詳細

国平の官歴は以下の通りです：

• - 時期不詳：上野大掾。明経生
• - 天元5年（982年） 10月：右少史
• - 寛和元年（985年） 日付不詳：大夫史
• - 時期不詳：正五位下
• - 永祚2年（990年） 10月10日：見左大史
• - 時期不詳：宿禰姓から朝臣姓に改姓
• - 正暦4年（993年） 2月29日：見兼左京亮。
• - 12月17日：見兼播磨介
• - 長徳元年（995年） 正月：兼和泉守。
• - 11月7日：見御院預
• - 長保3年（1001年） 正月30日：従四位下（治国）
• - 寛弘2年（1005年） 正月20日：前阿波守
• - 寛弘8年（1011年） 12月17日：見備中前司
• - 長和4年（1015年） 9月20日：正四位下（枇杷第還御日賞）

国平は、同時代の外記を務めた多米国定との兄弟関係についても議論の余地があり、彼の家系や政治的背景が興味を引く要素となっています。

参考文献

• - 永井晋『官史補任』 続群書類従完成会、1998年
• - 井上幸治編『外記補任』続群書類従完成会、2005年
• - 宮崎康充編『国司補任 第三,第四』続群書類従完成会、1990年

多米国平は、その多彩な経歴と影響力を通じて、平安時代の貴族社会において重要な役割を果たした人物として記憶されています。

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