多紀氏

多紀氏：徳川将軍家を支えた医家の系譜

多紀氏（たきし、たきうじ）は、日本の歴史において医家、武家として名を残す一族です。そのルーツは渡来系の氏族に遡り、複数の系統が存在します。

多岐にわたる系統

多紀氏の系統は大きく分けて二つあります。

丹波氏の流れ: 丹波康頼を祖とする丹波氏に繋がる系統。
大蔵氏の流れ: 豊後国の豪族である大蔵氏の庶家。

江戸幕府との関わり

江戸時代、多紀氏は徳川幕府に代々仕え、将軍家の奥医師として重きをなしました。初代徳川家康から最後の将軍である15代徳川慶喜に至るまで、将軍家に近侍し、その健康を支えました。僧位を持ち、法眼、法印の位を授けられることもありました。菩提寺は東京都北区上中里にある城官寺で、多紀一族の墓所となっています。

医学館総裁としての貢献

江戸時代末期には、幕府の医学校である医学館の総裁を多紀氏が務めました。主に内科を担当し、幕末に西洋医学が導入されると、外科の桂川氏と共に医学界の双璧と称されることもありました。しかし、多紀氏は幕府が開府した当初から将軍家の奥医師を務めており、家柄、位階ともに桂川氏よりも上位にありました。

主な人物

多紀氏からは、以下のような人物が輩出されています。

多紀元孝
多紀元徳
多紀元簡
多紀元胤
多紀元堅
多紀安琢

参考文献

森潤三郎『多紀氏の事蹟』（大空社）

関連項目

瀧廉太郎（豊後大蔵氏庶流出身）

多紀氏は、日本の医学史において重要な役割を果たした一族であり、その功績は今日においても高く評価されています。徳川将軍家を支え、医学の発展に尽力した多紀氏の歴史は、日本の歴史を語る上で欠かすことのできない重要な要素です。

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