多聞院 (奈良県平群町)

多聞院の概要

多聞院は奈良県平群町信貴畑にあり、信貴山真言宗に属する寺院です。山号は米尾山で、毘沙門天像（通称「汗かき毘沙門天王」）を本尊として崇められています。この寺院は信貴山朝護孫子寺の奥之院に位置し、重要な宗教的な拠点となっています。

寺院の位置と歴史

寺は朝護孫子寺の本堂からおよそ2キロメートル北にあります。多聞院は毘沙門天が初めて現れた地とされており、特に境内に出土する焼米は有名です。この焼米の存在が山号、米尾山の由来となっています。

参道を進むと山門が現れ、左に曲がると右手側に客殿が見えます。まっすぐ進むと、本堂があります。本堂は入母屋造りの本瓦葺きで、内陣の中央には毘沙門天を安置する厨子があります。その周囲には、弁財天立像や毘沙門天立像、不動明王像、愛染明王像、弘法大師像、十一面観音像など、数々の尊像が祀られています。これらの像は、参拝者に霊的な恩恵をもたらす存在として知られています。

本尊の伝説

多聞院の本尊である毘沙門天像は、寺の伝説によると聖徳太子が物部守屋大連を討伐する際に、この毘沙門天が先鋒として活躍し、体に汗をかいたと言われています。このエピソードから「汗かき毘沙門天王」と呼ばれるようになり、特に霊験あらたかとされています。この尊像は秘仏として大切にされており、毎年正3月日間と7月3日のみ公開されます。

また、本堂には享和二年の裏書がある紙本涅槃画像も宝物として保管されています。本堂のすぐ隣には鉄筋の護摩堂があり、ここには三宝荒神が安置され、毘沙門天立像や不動明王像も祀られています。地域の信仰が色濃く残る場所です。

文化的背景

多聞院には、素戔嗚神社という鎮守社もあり、地域の人々に親しまれている存在です。この寺院は1911年、文秀女王が訪れた歴史もあり、訪れる人々にとって特別な意味を持っている場所となっています。また、多聞院は大和北部八十八ヶ所霊場の第45番札所でもあります。

アクセス情報

多聞院へのアクセスは近鉄生駒線の平群駅からコミュニティバスを利用し、「信貴畑集落センター」で下車、そこから徒歩約8分です。近隣には天文二十一年在銘の十三仏碑も存在しており、歴史的にも興味深いスポットとなっています。

多聞院は、訪れる人々に深い霊的な体験を提供する場所であり、その歴史や文化が色濃く残る場所と言えるでしょう。信仰心が息づく多聞院は、ぜひ訪れてみたいスポットの一つです。

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