三宝荒神とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

三宝 荒神（さんぼうこうじん）とは

三宝荒神は、日本仏教において独特な信仰を集める神様です。仏教の根幹である仏・法・僧の三宝を守護し、不浄を避ける力を持つとされています。

概要

荒神とは、本来仏法や寺院を守る神々の総称です。その中でも三宝荒神は、日本独自の発展を遂げた代表的な存在と言えるでしょう。その起源には、日本古来の荒々しい神の魂である「荒魂」と、古代インドに起源を持つ夜叉神のイメージが組み合わさっており、さらに神道や密教、山岳信仰など、様々な要素が複雑に絡み合って成立したと考えられています。

全国には荒神を祀る寺社が約300社存在しますが、その中で三宝荒神を祀る社は約10社とされています。

像容の特徴

三宝荒神の像は、一般的に三つの顔と六本の腕を持つ姿で表されます。また、三面像の頭上に五つの小さな顔を持つ八面六臂の像も存在します。頭髪は逆立ち、目は吊り上がり、怒りに満ちた表情は、悪を懲らしめようとする強い意志を表しています。その姿は、密教の明王像と共通する部分が多く見られます。

信仰とご利益

三宝荒神は、不浄や災難を取り除く神として信仰されています。特に火と竈の神として知られ、台所など清浄であるべき場所に祀られることが多いです。これは、日本において台所が家庭の中心であり、最も清らかな場所と考えられてきたことに由来します。仏像としての作例は近世以降に多く見られます。

また、古代より出雲や大和の豪族たちが信仰していた三輪山に祀られる神とも関連付けられています。さらに、聖徳太子が制定したとされる十七条憲法の「篤く三宝を敬え」という教えに基づき、仏法僧の三宝を守護する神として神格化されたという説もあります。

『大荒神経』という経典では、三宝荒神は天女の姿で現れるとされ、文殊[[菩薩]]、不動[[明王]]、歓喜天とも同一の存在だとされています。この経典に基づき、江戸時代以降、各地で様々な変化神が祭祀されるようになったという説もあります。また、日蓮宗や法華宗では、『御義口伝』の一文から、三宝荒神を十羅刹女と同一視することがあります。さらに、普賢[[菩薩]]と習合し「普賢三宝荒神」と呼ばれることもあります。

伝説と歴史

役小角が金剛山で祈祷をしていた際、北東の方角から赤い雲とともに荒神が現れ、その地に祠を作って祀ったという伝説があります。また、荒魂を祀ったものが荒神になったという説もあります。この考え方は、ヒンドゥー教における悪神が仏教に帰依し、守護神となったという思想が日本にも伝わったものと考えられています。

源頼義は、征夷大将軍としての任務を終えた際、鎌倉と武蔵大宮に八幡堂を建立し、その際に三宝荒神を祀りました。また、上杉謙信は、三宝荒神を前立に使った変わり兜を所有していたと伝えられています。

真言と祭祀

三宝荒神の真言は「オンケンバヤケンバヤソワカ」です。この真言は、『大日経疏』に登場する地震を司る神「剣婆」に由来するとされ、剣婆はサンスクリット語のKampa（地震波）を語源とします。この他にも、『大荒神経』には様々な真言が記されています。

三宝荒神は火と竈の神であるため、神棚は家の中で最も清浄な場所である台所に祀ります。礼拝の作法は諸説ありますが、清[[荒神清澄寺]]では、一礼、三拍手、一礼の後に般若心経と荒神御真言を七回唱える作法が紹介されています。家庭でお札を祀る場合は、仏壇ではなく、一社宮の神棚に祀るのが一般的です。

主な三宝 荒神を祀る社寺

川上三寶荒神社 – 愛媛県西条市
蓬莱山清[[荒神清澄寺]] – 兵庫県宝塚市
筒井三宝荒神 – 兵庫県宝塚市 – 兵庫県神戸市
光三寶荒神社 – 和歌山県橋本市
笠山三宝荒神社 – 奈良県桜井市
本寂堂三宝荒神 – 神奈川県鎌倉市
大宮三宝荒神社 – 東京都杉並区
海雲寺 - 東京都品川区
三宝荒神堂 – 東京都台東区
大荒山神社 – 宮城県角田市

三宝荒神