多血小板血漿

多血小板血漿（PRP）について

多血小板血漿（たけっしょうばんけっしょう、英: Platelet-rich plasma、略称: PRP）は、血液の中から血小板を濃縮した血漿製品です。この技術は、血液を遠心分離することによって作られており、通常の血液中の血小板の濃度が2から7倍に増加します。この過程で赤血球は取り除かれ、PRPには成長因子や800以上の可溶性のタンパク質が含まれています。これにより、組織の再生を促進する療法として注目されています。

医療におけるPRPの利用

PRPは、主に骨格や結合組織の再生、さらには口腔や顔面の治療に広く利用されています。特に、成長因子を増加させることで、身体の自然な治癒プロセスを高め、怪我や手術後の修復を促進します。自身の血液が元になっているため、アレルギー反応や感染症のリスクも低いとされています。

投与方法

PRPは主に注射によって投与されますが、その分子量が500ダルトンを超える場合、皮膚の表層を通過しにくいため、「500ダルトンの法則」と呼ばれる制約があります。このため、PRPの美容的利用には、注射だけでなく、マイクロニードリングを使用することが一般的です。このほか、イオン導入、エレクトロポレーション、そして超音波導入などさまざまな方法が併用されます。

有効性

PRPの有効性については、外側上顆炎、変形性膝関節症、足底筋膜炎、回旋腱板腱症に対する治療において強いエビデンスがあるとされています（エビデンスレベル1A）。また、糖尿病性足部潰瘍についても一定の効果が示されていますが、全体的にはまだ十分なエビデンスが必要とされています。

近年の研究では、PRPが皮膚や髪の治療においても注目されており、特に男性型脱毛症（AGA）については多くの臨床試験が行われ、7件の研究が効果があると報告しています。しかし、治療手順は確立されておらず、改善のための標準化が求められています。

美容での利用

美容分野においてPRPの若返り効果については、まだ証明が不十分です。しかし、いくつかの研究から、顔にPRPを注入することで真皮のコラーゲン濃度が改善される結果が得られています。また、光老化による皮膚の治療についても、PRPの併用が効果を高めることが示されています。

副作用

PRP施術においては、注射時の痛みや腫れといった軽微な副作用が報告されていますが、重大な有害反応は極めて少ないとされています。とはいえ、さらなる研究が必要です。

PRPの調整法

PRPを製造する方法には、単一遠心分離や二重遠心分離、選択的ろ過といった手法があります。一般的には、先に赤血球を遠心分離し、その後に血小板を濃縮する過程が行われます。

成分

PRPには、成長因子、サイトカイン、ケモカインなど、800以上の可溶性タンパク質や分子が含まれており、これらが組織の再生や回復に寄与しています。

歴史

PRPは1970年代にその用語が使われ始め、医療分野での利用は1997年に口腔領域で初めて報告された経緯があります。

このようにPRPは、再生医療や美容において期待される治療法ですが、今後の研究と発展が求められています。

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