ケモカイン

ケモカインについて

ケモカイン（chemokine）とは、Gタンパク質共役受容体を介した作用を持つ塩基性タンパク質の一群であり、白血球の移動を促し、炎症の形成に寄与するサイトカインの一種です。1987年にIL-8が最初に発見されて以来、これまでに50種以上のケモカインが認識されています。ケモカインはその構造によっていくつかのカテゴリーに分類されており、主にCCケモカイン、CXCケモカイン、Cケモカイン、CX3Cケモカインなどがあります。

ケモカインの構造

一般的に、ケモカインは低分子量（約8-14 kDa）のタンパク質で、特徴的なアミノ酸配列に4つのシステイン残基が含まれています。これらのシステインはN末端から数えて1番目と3番目、2番目と4番目の間でジスルフィド結合を形成し、二次構造を安定させる鍵となる役割を果たします。

ケモカインの分類

CCケモカイン

CCケモカインは、N末端の2つのシステイン残基が連続しているためこの名が付けられました。これまでに27種類が発見されており、CCL1からCCL28までが分類されています。一部のCCケモカイン（たとえばCCL1、CCL15、CCL21、CCL23、CCL28）は6つのシステイン残基を持っており、その特異性により異なる機能を果たします。特に、CCL17（TARC）はTh2リンパ球に特異的に結合するCCR4受容体に結合し、アトピー性皮膚炎のマーカーとして臨床で使用されています。

CXCケモカイン

CXCケモカインは、N末端の2つのシステインの間に他のアミノ酸が存在することから名付けられました。このグループはさらにELRモチーフを持つものと持たないものに分けられます。ELRモチーフを持つCXCケモカインは好中球の遊走を促進し、血管新生作用を持つ一方、ELRモチーフを持たないものはリンパ球の遊走を促進し、血管新生を抑制する機能を持っています。

Cケモカイン

Cケモカインは他のグループのケモカインと異なり、N末端側の2番目と4番目のシステイン残基しか持っていないという独特の構造を持ち、これまでに発見されたのは2種類のみです。

CX3Cケモカイン

このグループのケモカインは、N末端の2つのシステインの間に3つのアミノ酸が存在するという特徴を持っており、fractalkine（CX3CL1）やCXC3L16が含まれます。これらは膜結合型であり、細胞の遊走を促進すると同時に接着分子としても機能します。

ケモカイン受容体

ケモカインの作用は、特定のケモカイン受容体を介して行われます。これらの受容体は約350アミノ酸残基から成り、すべてGタンパク質共役受容体の一部です。現在知られているケモカイン受容体の数は19種類に及びます。

関連項目

• - 樹状細胞
• - 炎症

ケモカインは免疫応答や炎症反応において重要な役割を果たし、これらの機構を理解することは、さまざまな疾患の治療に向けた新たな手段を模索するために欠かせません。

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