多賀谷重経

多賀谷 重経（たがや しげつね）

多賀谷重経は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活動していた武将です。彼は関東の常陸国において、父・多賀谷政経の跡を継ぎ、下妻城主として知られていました。重経は結城氏と佐竹氏の家臣としての経歴を持ち、官職は従五位下・修理大夫とされます。

生涯の概要

永禄元年（1558年）に誕生した重経は、家督を父の死後に承継し、武将としての道を進みました。彼は上杉謙信や佐竹義重と同盟を結び、敵対勢力である小田氏や岡見氏に立ち向かいました。その活動は、牛久地方への領土拡張を目的にしており、結城氏からの独立を目指すものでした。

特に天正18年（1590年）の小田原征伐では、後北条氏勢力の天神城を攻略するなど、戦での手腕を発揮します。彼は1,000挺もの鉄砲隊を有し、当時の関東において佐竹氏の鉄砲隊と並ぶ規模を誇っていました。しかし、この後の小田原征伐終了後に再び結城氏の家臣に戻され、結城秀康が当主として入嗣すると、彼の家中での立場は次第に弱体化していきました。

不満を抱いた重経は、佐竹氏へ転じ、家督を嫡男の三経から佐竹氏の四男・宣家に譲りました。文禄元年（1592年）には文禄の役に協力しなかったことを理由に下妻城を没収されることとなり、さらに豊臣秀吉の命を受けた徳川秀忠によって城は破却されました。このような事態の中で重経の運命は次第に厳しいものとなっていきます。

慶長5年（1600年）、関ヶ原の戦いで上杉景勝に通じたことで、重経は改易されます。追放された長男の三経は福井藩の重臣となり、宣家も実家の佐竹氏へ戻った後に岩城氏を相続し、藩主となりました。こうして多賀谷重経は孤独な存在となり、慶長8年には旧領地である下妻に戻るも、榊原康政に追われ、各地を放浪します。最終的には、末子の茂光が仕えていた彦根藩に身を寄せ、そこで病死しました。

重経の生涯は、「多賀谷七代記」と呼ばれる歴史書に彼の武勇や性格について記されており、彼の贅沢や驕慢が徳川氏の怒りを買った原因として描写されています。この記録は史実とは異なる部分も多く、彼の没落の要因として、姿を変えて伝えられています。

家族

• - 父: 多賀谷政経
• - 男子: 多賀谷三経（1578-1607）、多賀谷忠経、多賀谷茂光、菅谷経晃
• - 女子: 大寿院（佐竹義宣継室）、珪台院（多賀谷宣家正室）
• - 養子: 多賀谷宣家（1584-1672、佐竹義重の四男）

重経の家臣には赤松氏があり、その中には赤松常範が名を連ねています。彼の生涯は、戦国時代の激動の中で、家族や国家との関わりを深く示すものでした。

もう一度検索