夜が明けて

夜が明けて: 坂本スミ子の復活を告げるシングル

坂本スミ子が1971年10月21日にリリースしたシングル「夜が明けて」は、彼女にとって新たな出発を象徴する作品であります。この楽曲は、彼女がCBSソニー（現在のソニー・ミュージックエンタテインメント）に移籍して初めてのシングルであり、プロデューサーの村上司とディレクターの酒井政利の協力により生まれました。また、彼らは前年にリリースされた朝丘雪路のヒット曲「雨がやんだら」にも関わっており、この成功を受けて坂本の楽曲制作にも取り組むことになったのです。

村上と酒井は、業界のベテラン女性歌手の復活を後押しすることでも知られ、多くのプロデュース依頼を受けていました。そのため、坂本にとっても、彼らとのコラボレーションは非常に重要なターニングポイントとなったのです。歌詞の作成には、なかにし礼が起用され、メロディの作曲とアレンジを筒美京平が担当しました。なかにしは、漢字で表記できる言葉をあえてひらがなで表記し、感情豊かな別れの哀しさを描いた歌詞を提供しました。

音楽的には、筒美がアンデスのフォルクローレを取り入れた歌謡曲のスタイルが特徴です。民族楽器のチャランゴやケーナのサウンドを、12弦とガット弦の生ギター、さらにリコーダーを用いることで巧みにシミュレートし、作品全体に独特の雰囲気を与えています。この音楽的背景が、楽曲「夜が明けて」の魅力を引き立てています。

このシングルは、オリコンのチャートで最高14位を記録し、25週間もの間チャートにとどまるロングセールスを達成しました。この成功は、坂本にとって久しぶりのシングルヒットを意味し、彼女のキャリアにおける重要な瞬間となりました。シングルの収録曲には、「待ちわびて」も含まれ、こちらもなかにし礼による歌詞、筒美京平による作曲と編曲が施されています。

収録内容

このシングルについた収録内容は以下の通りです。

• - 夜が明けて [02:39]
• - 待ちわびて [03:18]

これらの楽曲は、坂本スミ子のアルバム「ファースト・ゴールデン・アルバム 夜が明けて」や「ゴールデン・アルバム 女と言う名の汽車」、「ビバ!ハリウッド 坂本スミ子」などに収録されています。

カバー作品

「夜が明けて」は、リリース後も多くのアーティストにカバーされました。1972年にはペドロ&カプリシャスがアルバム『別れの朝』に収録、続いて方怡珍が1973年の『夢のアルバム』、さらに研ナオコが1974年のアルバム『㐧三の女』に収録するなどしています。戸川純や八反安未果などもこの楽曲をカバーしており、長年にわたり多くの支持を集めてきました。

このように「夜が明けて」は、坂本スミ子の音楽キャリアにおいて非常に重要な役割を果たし、今日まで多くの人々に愛され続けています。

もう一度検索