ケーナ

ケーナについて

ケーナ（Quena）は、南アメリカのペルーやボリビアを中心に発祥した伝統的な縦笛で、気鳴管楽器に分類されます。独特な製造方法と音色で、フォルクローレ音楽の中では欠かせない存在として知られています。

構造と材質

ケーナはリードのないシンプルな構造を持ち、上部にU字またはV字の切り込みが施されています。これにより、音を発生させる口の部分が形成されています。演奏には、表面にいくつか、裏面に1つの指孔を利用し、これを指で塞ぐことで音を出します。古くは3～4個の指孔が一般的でしたが、現在は西洋音階に合わせて6孔が標準です。

初期のケーナは、カーニャと呼ばれる葦で作られていましたが、現在ではより硬い竹や木が一般的に用いられています。竹製の場合、特有の哀愁を帯びた音色が生まれますが、寸法の変動が多く調律が難しいという欠点もあります。木製のケーナは、音程の安定性に優れ、フルートのようなクリアな音色が特徴です。

最近では、教育用にプラスチック製のものも登場していますし、日本国内では独自の材料を用いた手作りのケーナも見られます。

音程と種類

一般的な長さのケーナはおおよそ35～40cmで、最低音はソです。フォルクローレ音楽で用いられる曲に対して非常に適した調律がされています。理論的には4オクターブの範囲を持ちますが、通常演奏されるのは概ね3オクターブです。半音階は主に指孔の半分の開閉によって表現されるため、複雑な音程を正確に取ることは難しい場合もあります。

ケーナのサイズには、標準のG管の他に高音的なケニージャ、低音のケナーチョといった種類があります。それぞれの特性や音域に応じて選ばれることが多いです。また、運指はアルゼンチン式とボリビア式に分かれますが、最近はボリビア式の方が主流となっています。この指孔の大きさや開放方法によって、出せる音階が異なるため、演奏者にとっては運指の理解が不可欠です。

演奏スタイル

フォルクローレ音楽において、ケーナはサンポーニャと共に主旋律を担うことが多く、ボンボ（大太鼓）や弦楽器と共に演奏されるスタイルが一般的です。シンプルな構造であるため、音色や表現は奏者の息の使い方に多く依存します。技術によって音域や音色を豊かなものに変えられるため、演奏者の個性が色濃く出る楽器です。

有名な演奏家

1970年代に日本にフォルクローレが紹介された際、特にアルゼンチン人のケーナ奏者が注目を集めました。アントニオ・パントーハ、ウニャ・ラモス、ラウル・オラルテなどが有名です。また、ボリビア人奏者にも名だたる演奏家が多く、ロランド・エンシーナスやマルセロ・ペーニャなどがいます。日本国内でも、橋本仁や岡田浩安、武田耕平など多くの奏者が活動しており、ケーナの普及に貢献しています。

まとめ

ケーナはその歴史的背景と豊かな音色から、南米の文化を象徴する楽器の一つです。演奏方法や材質の違い、大小さまざまな種類があることで、多様な音楽スタイルに適応しています。これからもぜひ多くの人に愛され、演奏され続けることでしょう。

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