夜中のつまみ食い

夜中のつまみ食い：トムとジェリーの誕生秘話と冷蔵庫を舞台にした攻防

1941年7月19日公開の『夜中のつまみ食い』(原題:The Midnight Snack)は、アニメーション史に名を刻む人気シリーズ『トムとジェリー』の初期作品であり、シリーズタイトルが正式に決定した記念すべき作品でもあります。ハンナ・バーベラ製作による2作目として、二人の才能が結実した傑作と言えるでしょう。

スタッフ：豪華な制作陣が織りなすアニメーション

この作品には、数々の才能あふれるスタッフが参加しています。監督にはウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ、そしてルドルフ・アイジングが名を連ね、製作にはフレッド・クインビーとルドルフ・アイジングが携わりました。さらに、ウィリアム・ハンナが共同製作としてクレジットされていませんが、制作に深く関わっていたことが伺えます。脚本は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラが担当し、原画にはレイ・エイブラムス、ビル・リトルジョン、セシル・サリー、アーヴン・スペンス、ジョージ・ゴードン、ジャック・サンダー、ピーター・バーネス、カール・アルバノー、マイケル・ラーといった錚々たるメンバーが名を連ねています。その他にも、制作マネージャー、背景、音楽、彩色、録音といった各部門のスタッフが、作品を完成させるために尽力しました。メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・カートゥーン・スタジオによる制作、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーとロウズ・シアターによる配給という体制も、作品の高品質を支えています。

作品内容：真夜中の冷蔵庫で繰り広げられるドタバタ劇

舞台は真夜中の台所。ジェリーは冷蔵庫からチーズを盗み出そうと画策します。その様子を隠れて見ていたトムは、いたずら心でジェリーをからかいます。チーズ泥棒を懲らしめたところで、トムは冷蔵庫を物色し始めます。様々な食べ物をつまみ食いするうちに、トムは自身が嫌うチーズを投げ捨て、その衝撃で食器棚を割ってしまいます。

その音に気づいたお手伝いさんが台所へやってきます。トムは、自分が台所を荒らしたことがバレれば追い出されることを恐れ、ジェリーに罪を擦り付けようとします。お手伝いさんが冷蔵庫を開けると、中にはジェリーがいました。「トム、ネズミを捕まえて！」お手伝いさんの叫び声が、トムとジェリーの激しい追いかけっこをスタートさせます。

トムはジェリーを追い詰めますが、ジェリーの機転によって状況は逆転。トムは冷蔵庫に閉じ込められてしまいます。お手伝いさんは、ネズミ退治の褒美としてトムにミルクを与えようとしますが、冷蔵庫の中にいるトムを見つけ、激怒して彼を追い出してしまいます。ジェリーは、トムが追い出されるのを見て、満足げにチーズを食べるのでした。

登場キャラクター：個性豊かなキャラクターたちの競演

トムは、チーズを盗もうとするジェリーを懲らしめようとしますが、結果的に自身も冷蔵庫の食べ物を盗み食いし、お手伝いさんに見つかり追い出されてしまいます。この作品で初めて明らかになったトムの「チーズ嫌い」という設定は、後の作品では変更されることになります。

ジェリーは、チーズを盗もうとしてトムに捕まりますが、機転を利かせ、トムを冷蔵庫に閉じ込め、最終的にチーズを手に入れることに成功します。

そしてお手伝いさんは、食器が割れた音で目を覚まし、トムにジェリーを捕獲するよう命じます。しかし、トムが冷蔵庫に閉じ込められているのを見て激怒し、彼を追い出してしまうのです。

再公開：時を超えて愛される名作

『夜中のつまみ食い』は、1948年3月27日と1958年1月30日に再公開されました。再公開版では、オープニングとエンディングのクレジット、そしてレオ・ザ・ライオンが変更されています。初公開版では、クレジットやレオ・ザ・ライオンは実写映画と同じものが使用され、プロデューサーのフレッド・クインビーの名前もクレジットされていませんでした。現在、映像ソフトやテレビで放送されているのは、主に1958年再公開版です。

『夜中のつまみ食い』は、トムとジェリーの初期作品でありながら、二人の関係性、そしてユーモラスな展開が魅力の作品です。冷蔵庫を舞台にしたドタバタ劇は、何度見ても飽きることがありません。この作品から始まるトムとジェリーの物語は、世界中の人々に愛され続けています。

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