夜明駅

夜明駅：歴史と自然に包まれた山間の駅

大分県日田市にある夜明駅は、JR九州久大本線と日田彦山線に属する駅です。久大本線は日田盆地を貫く重要な路線であり、日田彦山線はさらに山間部へと伸びる路線として、地域の交通を支えてきました。しかし、2017年の九州北部豪雨により日田彦山線は大きな被害を受け、現在も運休中です。日田彦山線の運行は、添田駅から日田駅間においてBRT（バス高速輸送システム）「BRTひこぼしライン」によって代替されています。夜明駅は、このBRT路線の停留所としても機能しています。

歴史を刻む駅舎

夜明駅は1932年、久大本線の開通と同時に開業しました。その後、1934年には久大本線の日田駅方面、1937年には日田彦山線宝珠山駅方面へと路線が延伸され、地域の交通の要所として発展を遂げてきました。かつては貨物や手荷物の取扱も行われていましたが、時代の変化とともに業務内容も変化。1987年の国鉄分割民営化により九州旅客鉄道（JR九州）の駅となりました。2010年には、新たな木造駅舎が落成し、地域のシンボルとして親しまれています。駅舎は、地域の伝統と新しい息吹を融合させた美しい建築物です。

しかし、歴史の中で幾度も豪雨による被害を受けており、2012年、2017年の九州北部豪雨では、久大本線、日田彦山線共に運休を余儀なくされました。これにより、駅周辺の地域社会にも大きな影響が及んだことは間違いありません。2023年8月、日田彦山線BRTの運行開始により、地域の交通網は新たな段階へと進みました。駅舎下にはバス停留所が設置され、利便性の向上に貢献しています。

駅の構造と周辺環境

夜明駅は、相対式ホーム2面2線の地上駅で、無人駅です。バリアフリー化は進んでいないものの、駅へのアクセスは工夫されています。かつて使用されていた3番線ホームは2022年に廃止されました。

駅周辺は、筑後川（当地では三隈川）と国道386号が久大本線に沿って走り、自然豊かな山間部が広がる静かな環境です。駅舎近くには「夜明の鐘」や、2012年の豪雨を祈念して設置された礎石があります。また、駅周辺には夜明郵便局、日田市立夜明小学校、日田市夜明振興センター、夜明ダムなどがあり、生活に密着した施設が整備されています。

夜明駅と文化

夜明駅は、映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』のロケ地として使用されたり、山崎ハコの楽曲「夜明まで」や、原田マハの短編集「星がひとつほしいとの祈り」の一篇「夜明けまで」にも登場するなど、文化的な側面も持ち合わせています。

利用状況

夜明駅の利用状況は、開業当初から現在まで大きく変遷しています。1965年度には年間13万人を超える乗降客数を記録していましたが、近年は減少傾向にあります。2013年度の乗車人員は13,498人、降車人員は14,915人でした。これは、近年における自動車の普及や人口減少など、様々な要因が影響しているものと考えられます。

まとめ

夜明駅は、歴史と自然に囲まれた、静かで落ち着いた雰囲気の駅です。かつては賑わいを見せていた駅も、時代の変化とともに利用状況は変遷しましたが、BRTの運行開始により、新たな役割を担うことになりました。歴史と自然、そして文化が調和する夜明駅は、訪れる人々にとって忘れられない思い出となる場所でしょう。

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