夜桜お七

夜桜お七

「夜桜お七」は、1994年9月7日に東芝EMIから発売された坂本冬美のシングルであり、彼女の代表曲の一つとして広く知られています。この楽曲は、坂本が師事していた作曲家・猪俣公章の亡き後、初めてリリースされたシングルであり、新たな音楽への挑戦を示す作品となりました。

概要

作詞は、これまで演歌の作詞経験がなかった歌人・林あまりが担当しました。曲名にもある「お七」とは、江戸時代の悲恋物語で知られる八百屋お七のことで、この楽曲では、自己主張する現代的な女性の姿を八百屋お七になぞらえて描いています。林あまりの第一歌集『MARS☆ANGEL』に収録されている短歌連作「夜桜お七」を再構成した歌詞は、独自の視点と表現で、楽曲に深みを与えています。

音楽的には、ブラスを導入した16ビートのメロディーが特徴で、従来の演歌のイメージとは一線を画す斬新なサウンドが展開されています。この異色の組み合わせが、幅広い層の音楽ファンに受け入れられ、発売から1か月あまりで15万枚を売り上げるという、演歌としては異例の速さで売れ行きを伸ばしました。また、オリコンシングルチャートでは、100位以内に25週ランクインするなど、ロングヒットを記録し、その人気を不動のものとしました。

「夜桜お七」は、第36回日本レコード大賞で作曲賞と優秀賞を受賞するなど、音楽業界からも高い評価を得ています。CDシングル発売から28年後の2022年2月23日には、初のアナログカットとなる7インチアナログ盤が発売され、新たなファン層にもアピールしました。

さらに、この楽曲は『NHK紅白歌合戦』で、1994年から2021年までの間に計8回も歌唱されており、坂本冬美自身にとっても紅白で最も多く披露している楽曲となっています。1996年の第47回では初の紅組トリを、2018年の第69回では紅組トップバッターを務めるなど、紅白の歴史においても重要な位置を占めています。

2005年には、NHKが実施した『スキウタ〜紅白みんなでアンケート〜』で、紅組41位にランクインするなど、一般の音楽ファンからの支持も厚いことを示しました。

また、水樹奈々が2010年のNHK『春うた2010』でこの楽曲をカバーするなど、ジャンルを超えて愛される楽曲となっています。

収録曲

1. 夜桜お七
- 作詞：林あまり、作曲：三木たかし、編曲：若草恵
2. 哀しみの予感
- 作詞：林あまり、作曲：三木たかし、編曲：若草恵

カバーした歌手

「夜桜お七」は、多くのアーティストによってカバーされています。以下はその主な例です。

田川寿美 - 1995年のアルバムに収録
水田竜子 - 1996年のアルバムに収録
キンモクセイ - 2007年のアルバムに収録
中森明菜 - 2007年のアルバムに収録
吉木りさ - 2008年にデビューシングルとして発売
水樹奈々 - 2009年のアルバムのDVDに収録
永井裕子 - 2009年のアルバムに収録
カレン - 2009年のアルバムに収録
ジェロ - 2010年のミニアルバムに収録
高見沢俊彦 - 2010年のアルバムに収録
花見桜こうき - 2015年のアルバムに収録
前川清 - 2019年のアルバムに収録
田村直美 - 2021年のアルバムに収録
村上巴（花井美春）- 2025年のアルバムに収録

これらのカバーからも、「夜桜お七」が幅広いジャンルのアーティストに影響を与え、世代を超えて愛される楽曲であることがわかります。

吉木りさによるカバー

吉木りさによるカバーは、2008年12月24日に徳間ジャパンコミュニケーションズから発売されたデビューシングルです。このシングルには、以下の楽曲が収録されています。

1. 夜桜お七
2. 帰ってこいよ
3. 夜桜お七（インストゥルメンタル）
4. 帰ってこいよ（インストゥルメンタル）

まとめ

「夜桜お七」は、坂本冬美の代表曲であるだけでなく、演歌というジャンルを超えて多くのアーティストや音楽ファンに愛される名曲です。その独創的なメロディーと、八百屋お七をモチーフにしたドラマチックな歌詞は、聴く人の心に深く響き、時代を超えて歌い継がれています。

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