夢のつづき (村下孝蔵の曲)

夢のつづき (ゆめのつづき)

「夢のつづき」は、日本のシンガーソングライター、村下孝蔵によって生み出された楽曲である。1984年9月21日にCBSソニーからシングルとしてリリースされた、彼のキャリアにおいて通算8枚目にあたる作品である。この楽曲は、村下孝蔵がデビューから5年目を迎える時期に制作され、当時の彼の音楽性が確立された一曲として位置づけられる。

本楽曲は、シングルとして世に出されたほか、同年発表された村下孝蔵のオリジナルアルバム『花ざかり』にも収録されている。アルバムにおいては、2曲目に配置されており、『花ざかり』の世界観を構成する上で重要な役割を果たしている。

「夢のつづき」の魅力は、村下孝蔵らしい情感溢れるメロディーラインと、聴く者の心に深く響くような叙情的な歌詞にある。情景が目に浮かぶような繊細な言葉選びと、優しくも力強い歌声が一体となり、多くの人々の共感を呼んだ。

この楽曲に関しては、プロモーションビデオ（PV）が制作されている点も特筆される。これは、前作シングル「花ざかり」に続いて制作されたもので、村下孝蔵の楽曲としては比較的珍しい映像作品である。PVの映像は、アルバム『花ざかり』のアートワークも手掛けたことで知られる切り絵作家、村上保による切り絵を素材とし、それをアニメーション化するという手法が用いられている。これにより、楽曲の持つ幻想的で美しい世界観が、視覚的にも表現された。この貴重なプロモーションビデオは、2005年にリリースされた村下孝蔵の追悼ベストアルバム『月待哀愁歌〜村下孝蔵最高選曲集 其の弐』に付属するDVDに収められており、現在でもその独創的な映像作品を鑑賞することが可能である。

シングル盤「夢のつづき」には、カップリング曲として「似顔絵」が収録されている。両楽曲ともに、作詞・作曲は村下孝蔵自身が担当している。「夢のつづき」の編曲は水谷竜緒が手掛け、さらに町支寛二がコーラスアレンジを担当している。一方、「似顔絵」の編曲も水谷竜緒が行っており、両曲は共通のアレンジャーによって制作されている。

「夢のつづき」は、国内だけでなく海外、特にアジア圏でも注目を集め、複数のアーティストによってカバーされている。香港の歌手、林志美（エリナ・ラム）は、「愛的洗禮」というタイトルでこの曲をカバーした。林志美は当時、村下孝蔵と同じCBSソニー系列のレコード会社に所属しており、そうした縁もあってカバーに至ったとされている。また、同じく香港の歌手である張徳蘭（テリー・チョン）も、「姑娘滿十八」というタイトルでこの楽曲をカバーし発表している。

カップリング曲の「似顔絵」もまた、日本の歌手によってカバーされている。1984年には、歌手の高田みづえがこの曲をカバーし、自身の作品として発表した。

「夢のつづき」は、村下孝蔵のキャリアにおける重要な一曲であり、彼の音楽性の幅広さを示す作品である。シングル、アルバム収録、印象的なPV、そして国内外でのカバーという様々な側面を持つこの楽曲は、今なお多くの音楽ファンに愛され続けている。

もう一度検索