夢想神伝流(むそうしんでんりゅう)
夢想神伝流は居合の流派であり、名剣士として知られる中山博道によって
大正時代に創設されました。彼は
高知県で夢想神傳重信流を学び、その上に独自の工夫を加えた流派です。中山自身はこの流派が夢想神傳重信流であると門弟に伝えていましたが、彼が命名した「夢想神伝流」は中山の死後、弟子たちによって統一された名称です。
歴史背景
明治時代末期、中山博道は
高知県で無双直伝英信流の存在を耳にし、その掟に障害がありました。しかし、彼は
板垣退助の仲介で、無双直伝英信流の技術を学ぶ機会を得ました。
1922年には、細川義昌から夢想神傳重信流の
免許を授かります。最初に「夢想神伝流」と名乗ったのは
昭和8年(
1933年)の武徳祭大演武会であり、その後、流派の名称が徐々に定まっていきました。
江戸時代から、様々な文書で流派の名称が記載されており、当時から多様な呼称が存在していた証左です。中山は特に高弟や地位の上位者に対してのみ居合を教えたため、全技を伝授された弟子は少数です。戦後、夢想神伝流は全日本剣道連盟
居合道の発展に大きく貢献し、現在では関東地域を中心に広がっています。
また、中山博道は門弟の木村栄寿に、未伝の伝書の書き写しと解読を促しました。木村は晩年に細川家に通い、その伝書を解析しようとしましたが、病のために計画は未完に終わりました。彼の後を受け継いだ橋本正武と額田長が、この伝書をもとに「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流」を著しました。
技と形目録
夢想神伝流には多くの技と形が存在します。以下に主要なものを挙げます。
居合
- - 初伝(大森流、正座の部): 初心者向けの技が含まれています。
- 一本目: 初発刀(前)
- 以降、各種技が続く。
中伝
- - 長谷川英信流(立膝の部): 高い技術が求められます。
- 一本目: 横雲
- その他にも多様な技が秘められています。
重信流
- - 近年では「重信流」の名称も使われるようになりました。
- 一本目: 向払(霞)
- 各種技が続く。
奥居合
- - 幅広い技法が体系化されており、各技に独自の特色があります。
- 一本目: 人中(壁添)
- 計十本の技があります。
組太刀と詰の位
- - 組太刀や詰の位は、師弁により異なり、中山が直接指導した技も含まれています。
詰の位
- - 一本目: 抱詰
- - 各種技が続き、より深い理解が求められます。
夢想神伝流は、日本の武道としての
居合道の発展に寄与し続け、現在でも多くの愛好者に支持されています。その緻密な技術と哲学は、剣道界において重要な位置を占めています。