大モロッコ

大モロッコ

大モロッコ（アラビア語：المغرب الكبير）は、モロッコの民族統一主義者が主張する、より広大な領域を指す概念です。この概念は、歴史的な経緯と領土問題を背景に持っています。

歴史

モロッコは1956年にフランスから独立を果たしました。その後、1958年にはイフニ戦争の結果として、スペインからジュビー岬を獲得しました。しかし、1960年にモーリタニアがフランスから独立すると、モロッコのイスティクラル党のアラル・アル・ファッシは「完全な解放」を主張し、モーリタニアとの国交樹立には9年もの時間を要しました。

1963年、アルジェリアがフランスから独立したことを受け、モロッコは南西部のティンドゥフ県とベシャール県に対し、かつてモロッコの主権下にあったとして侵攻を開始しました。同年にはアフリカ統一機構（OAU）が発足し、紛争調停に乗り出します。1964年には砂戦争が終結しましたが、国境線は変わらず、モロッコはアルジェリアに対する領土要求を放棄しました。

1969年、モロッコは大モロッコに含まれると主張していたモーリタニアを承認し、国交を樹立しました。しかし、西サハラと北岸のプラサス・デ・ソベラニアに対する領土主張は継続しました。1975年にはマドリード協定が結ばれ、モロッコはスペイン領サハラの西半分を獲得しました。翌1976年には、西サハラを領土と主張する亡命政権であるサハラ・アラブ民主共和国が樹立されました。

1984年、西サハラのOAU加盟を受けて、モロッコはOAUを脱退しました。2002年にOAUが発展解消し、アフリカ連合（AU）となっても、モロッコは非加盟を続けました。当時、アフリカの国でAUに加盟していないのはモロッコのみでした。同年、モロッコは北岸から250mの位置にある無人のスペイン領ペレヒル島を一時的に占領しましたが、スペインが特殊作戦部隊を派遣して奪還しました。

2016年、モロッコは西サハラに対する領土主張を継続しながらも、AUへの加盟を申請し、2017年に再加盟が承認されました。

現在、モロッコ政府は大モロッコという概念を公式には主張していませんが、セウタやメリリャなどのスペイン領飛地（プラサス・デ・ソベラニア）や西サハラに対する領有権は依然として主張しています。

関連項目

アフリカ分割
ベルリン会議
スペイン領モロッコ保護国
モロッコにおける植民地戦争の一覧

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