大久保忠鎮

大久保忠鎮：赤穂事件に関わった幕府の役人

大久保忠鎮は、江戸時代中期の寛永15年(1638年)に、大身旗本である大久保忠貞の子として誕生しました。家督は兄が継承したため、忠鎮は別家を興します。

若い頃は書院番として幕府に仕え、几帳面な勤務ぶりから度々褒賞を受けました。しかし、出世は遅く、40年近く書院番を務めた後、元禄10年(1697年)になってようやく目付に昇進します。目付への昇進と同時に、地位と所領も与えられ、その後は幕府の要職を歴任しました。

忠鎮の名が広く知られるようになったのは、元禄14年(1701年)に発生した赤穂事件への関与がきっかけです。浅野長矩が吉良義央に刃傷に及んだ事件において、忠鎮は目付として吉良義央の取調べを担当しました。しかし、吉良義央は事件への関与を否定し、浅野長矩の単独犯行として処理されました。その後、忠鎮は浅野長矩の切腹の副検死役を務め、切腹の場所をめぐって大目付の庄田安利と対立したという記録が残されています。

赤穂事件後も、忠鎮は幕府の役人として活動をつづけましたが、元禄15年(1702年)には、ある取調べの怠慢を理由に一時的に職を解任され、将軍への拝謁も禁止されました。その後、許されて職務に復帰しましたが、以前のような要職には就くことはありませんでした。

忠鎮は正徳元年(1711年)に74歳で亡くなり、本妙寺に葬られました。

詳細：

生誕と出自: 大久保忠鎮は大身旗本、大久保忠貞の四男として生まれました。兄が家督を継いだため、忠鎮は自身で家系を築き上げることになります。
書院番時代: 若くして書院番となり、長きに渡り勤務しました。忠実な勤務ぶりが認められ、幾度も褒賞を受けています。しかし、出世は遅く、目付への昇進は比較的遅い時期でした。
赤穂事件への関与: 浅野長矩と吉良義央の刃傷事件では、目付として吉良義央の取調べを行い、その後、浅野長矩の切腹の副検死役を務めました。この事件における忠鎮の行動は、歴史書などに記録されており、様々な解釈がなされています。
切腹場所の対立: 浅野長矩の切腹の場所をめぐって、大目付の庄田安利と対立したことが『多門筆記』などに記されています。忠鎮は、大名としての格式にふさわしい場所での切腹を主張したとされています。
取調べの怠慢と処分: 元禄15年(1702年)には、ある取調べの怠慢を理由に、一時的に職務を解かれ、将軍への拝謁も禁止されました。これは忠鎮のキャリアに大きな影響を与えた出来事でした。
晩年: 職務に復帰したものの、以前ほどの要職には就くことなく、晩年を過ごしました。
* 没後: 正徳元年(1711年)に74歳で死去。本妙寺に葬られました。

考察:

大久保忠鎮は、赤穂事件という大きな歴史的事件に深く関わった幕府の役人でした。忠実で几帳面な性格と、事件における立場、そしてその後の処遇などから、忠鎮の人生は、江戸時代の幕臣としての生き様を象徴するものと言えるでしょう。また、赤穂事件においては、忠鎮の行動や判断が、事件の展開やその後の人々の解釈に影響を与えた可能性も考えられます。彼の行動を通して、当時の権力構造や社会情勢、そして人々の価値観などを理解する上で重要な手がかりとなるでしょう。

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