庄田安利

庄田安利：波乱の幕末を駆け抜けた旗本の生涯

庄田安利（しょうだやすとし、1650年-1705年）は、江戸時代前期の旗本であり、幕府要職である大目付を務めた人物です。幼名は万千代、通称は三左衛門・小左衛門、別称は荘田下総守で、従五位下下総守に叙任されました。3000石を領する旗本庄田安勝の長男として生まれ、母は甲州流兵学者小幡景憲の養女でした。

家督相続と幕府でのキャリア

8歳の時、将軍徳川家綱に初めて拝謁。その後、御小姓組番士を経て、父安勝の死後、家督を相続します。弟に400石を分知し、自身は2600石を領しました。進物役を務めた後、家綱正室の霊屋普請に貢献し、褒賞を受けました。本所奉行も務めたものの、後に辞職。その後も、勤勉な勤務態度が認められ、度々褒賞を受けています。御使番を経て、目付として日光東照宮に赴くなど重要な任務を担いました。六位相当に叙せられたことを示す布衣の着用を許されるなど、順調にキャリアを重ねて行きました。

美濃郡上での役割と昇進

美濃国八幡藩主遠藤常久の死去と改易に際しては、郡上城の受け取り役を務めるなど、その手腕を発揮しました。西の丸留守居役を経て、従五位下下総守に叙任。そして、ついに幕府の要職である大目付に就任します。

赤穂事件と失脚

大目付在任中、浅野長矩による吉良義央への刃傷事件が発生。安利は、長矩の切腹検死役正使として、多門重共、大久保忠鎮と共に田村邸に赴きます。多門が浅野を気遣ったのに対し、安利は厳しい態度で臨んだと伝えられています。この事件後、安利は吉良義央に近い旗本らとともに「勤めがよくない」と咎められ、大目付の職を解任。旗本寄合席入りとなり、政治の中枢から遠ざかります。長矩の切腹をめぐり意見が対立した多門も、後に処罰を受けています。

晩年と評価

その後、安利は役職に就くことなく、嫡男庄田安通に家督を譲り隠居。宝永2年（1705年）に56歳で死去しました。法名は純真です。

忠臣蔵との関わり

人形浄瑠璃および歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』では、薬師寺次郎左衛門という名前で登場しますが、これは史実とは異なる創作です。

総括

庄田安利は、幕府において重要な役割を担った人物でしたが、赤穂事件を巡る対応が彼の運命を大きく変えました。忠実な家臣として、また厳格な役人として、その生涯は様々な評価を受けることでしょう。彼の波乱に満ちた人生は、江戸時代の政治状況や人間模様を理解する上で貴重な資料となっています。彼の功績と失敗は、後世の人々に警鐘を鳴らし続けることでしょう。

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