大目付

大目付（おおめつけ）とは

大目付は、江戸幕府及び各藩における重要な役職の一つで、古くは「惣目付」や「大監察」とも呼ばれていました。江戸時代におけるその役割は、大名や高家、または朝廷を監視し、幕府への謀反を防ぐ監察官としての機能を持っていました。

江戸幕府における大目付の役割

大目付の制度は、寛永9年（1632年）の12月17日に始まり、最初の4名として、秋山正重、水野守信、柳生宗矩、井上政重が任命されました。その役割は主に大名の動向を監視することであり、特に旗本層から選任されるため、その地位は高く評価され、万石級の禄高を与えられることが一般的でした。また、任命される際には「○○守」の官位も授けられました。

江戸時代の中期頃からは、監察官としての役割よりも、幕府の命令を全国の大名に伝える伝令や、江戸城内での儀礼を担当する名誉職としてみなされるようになりました。このため、大目付は名声を持ちながらも閑職とされ、町奉行や勘定奉行を務めた後の高齢の旗本がその職に就くことが多くなりました。

役高は当初3000石に設定され、役料制度が発足した寛文5年（1665年）以降は1000俵に定められることとなりました。しかし、天和2年（1682年）に役料制度が廃止された結果、役高は知行高に加算されることになります。その後、元禄5年（1692年）に再び役料制度が復活し、ここで大目付の役高は再び3000石に戻されました。定員は不規則で、時期によって異なり、家光から家綱期間では2〜3名、綱吉から家重期間では3〜4名、家治から家慶期間では4〜5名といったように、変動がありました。

大目付が道中奉行を兼任する場合、特に権限が強化され、京都所司代や大坂城代と同様に将軍の代理を務めることが求められました。

諸藩における大目付

同様の役職は、会津藩、大垣藩、米沢藩、肥後藩などの諸藩にも見られました。各藩における大目付の役職の存在は藩の方針や時代によって様々でした。例えば、会津藩は2名の大目付を任じ、米沢藩は武鑑において用人としてそれが記載されていました。また、肥後藩では家老や中老の次に重要な役職とされ、その配下に目付や横目を持つ形式です。

一方、柳河藩ではかつて大目付が存在しましたが、権力を乱用したために制度が廃止されることがありました。さらに、長州藩や仙台藩には大目付職が存在しないこともあり、役職名は同様でも、その位置付けは藩によって多岐にわたります。

まとめ

大目付は江戸幕府及び各藩において特別な役割を果たしてきましたが、時代とともにその地位や役割は変化していきました。元々は監察官として重要な位置を占めていたこの職が、その後は名誉職として名声を持つ反面、実質的な権限が減少する過程を経ていないことが特徴的です。

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