大久保町 (東京府)

大久保町（おおくぼまち）

大久保町は、かつて東京府豊多摩郡に存在した町です。現在の新宿区の一部にあたります。この地域は、武蔵野台地の一部である豊島台地上に位置していました。

地理

大久保町の大部分は、武蔵野台地を構成する豊島台地上にありました。この地形が、町の歴史や文化に影響を与えたと考えられます。

歴史

江戸時代

江戸時代、大久保は幕府の警護を担った伊賀組百人鉄砲隊（鉄砲百人組頭）の居住地として知られていました。また、ツツジの名所としても有名で、多くの人々が訪れたとされています。当時の様子は、「江戸名所図会」にも記録されています。

明治時代

1889年（明治22年）5月1日、町村制の施行により、東大久保村、西大久保村、そして大久保百人町が合併し、南豊島郡大久保村が発足しました。1896年（明治29年）4月1日には、南豊島郡と東多摩郡が合併し、豊多摩郡が誕生しました。

大正時代

1912年（大正元年）12月1日、大久保村が町制を施行し、大久保町となりました。

昭和時代

1932年（昭和7年）10月1日、大久保町は東京市に編入され、その歴史を閉じました。編入後は淀橋区の一部となり、現在の新宿区へとつながっています。

町名の変遷

淀橋区成立時に、大久保町の地域は以下のように町名が改称されました。

大久保百人町（後に大字百人町）
南通（1-35）
仲通（36-256）
仲通北側（257-393）
北通（394-550）
西大久保
北裏（1-170）
仲通（175-354）
南裏（355-519）
東大久保
上ヶ池（1-24）
砂利場（25-166）
天神前（167-301）
高場（302-320）
前田甫（321-398）
東大久保町（399-488）
新田裏（489-503）
角筈裏（504-546）

地域

大久保町は、現在の新宿区の一部に位置し、以下の地域を含んでいました。

百人町
大久保
歌舞伎町（一部）
新宿（一部）

これらの地域は、現在も大久保町の歴史を色濃く残しています。

教育

大久保町には、多くの教育機関が存在しました。

東京医学専門学校
海城中学校
大久保青年訓練所
高千穂中学校
高千穂尋常高等小学校
大久保尋常高等小学校（現在の新宿区立大久保小学校）
戸山尋常小学校（現在の新宿区立戸山小学校）
天神尋常小学校（現在の新宿区立天神小学校）

これらの学校は、地域社会の発展に貢献しました。

交通

大久保町には、以下の鉄道駅がありました。

鉄道省
中央本線：大久保駅
山手線：新大久保駅

これらの駅は、現在も地域の交通の要となっています。

出身・ゆかりのある人物

大久保町は、多くの著名な人物を輩出しました。

安藤昇：元ヤクザ、俳優、小説家、歌手、プロデューサー
江藤淳：文学評論家
丹波哲郎：俳優
森川時久：映画監督、演出家
廖承志：中国の政治家
町村金弥：大久保町長
横山章：衆議院議員、貴族院議員
剣持勇：インテリアデザイナー

これらの人物は、各分野で活躍し、その功績を称えられています。

参考文献

斎藤長秋 編「巻之四 天璣之部 大久保の映山紅」『江戸名所図会』 2巻、有朋堂書店〈有朋堂文庫〉、1927年、472-473頁。
東京市臨時市域擴張部 『豊多摩郡大久保町現状調査』 1931年

関連項目

東京都の廃止市町村一覧
南多摩郡
豊多摩郡
淀橋区
新宿区
大久保
百人町
余丁町
歌舞伎町
* 新宿

もう一度検索