東京都の廃止市町村一覧

東京都の廃止市町村一覧：歴史を刻んだ自治体の変遷

本稿では、1889年（明治22年）の市制町村制施行以降、東京都（1943年以前は東京府）において、合併、統合、編入などにより廃止された市区町村を網羅的に解説します。単なる名称変更や所属郡・府県の変更のみのケースは対象外とします。

廃止に至る主なケース

東京都における市町村の廃止は、大きく分けて以下のケースに分類されます。

1. 町制・市制施行による廃止: ある町村が町制または市制を施行し、町または市になった場合、元の町村は廃止されます。ただし、名称変更を伴わないケース（例：羽村町→羽村市）、町制・市制施行と同時に名称を変更した場合（例：秋多町→秋川市）は、この一覧には含まれません。また、単なる名称変更の場合も同様です。

2. 市町村合併による廃止: 市町村合併では、編入合併と新設合併の2種類があります。編入合併の場合、存続する市町村は廃止されません。一方、廃止された市町村はこの一覧に含まれます。新設合併の場合も、廃止された市町村はすべて一覧に含まれます。新設合併で、名称が引き継がれる場合もあります（例：三宅村→三宅村）。

3. 区・特別区の廃止: 東京市が廃止され、特別区に再編された際、東京市に含まれていた区（例：浅草区→台東区）も廃止市町村として扱います。

4. 分割・分立: 市町村が分割され廃止された場合は、この一覧に含まれます。分立で一部が新たな自治体として存続する場合は、存続した市町村は除外します（例：淵江村の一部→伊興村）。

各年代ごとの廃止市町村

以下に、年代別に廃止された市町村をまとめます。詳細な合併・統合の内容については、それぞれの市町村の歴史を紐解く必要があります。

1900年代～1920年代: この時期は、町村間の合併による廃止が主でした。南多摩郡日野町・桑田村、北多摩郡中藤村・横田村など複数の町村が合併して新しい自治体を形成したため、それらの町村は廃止されています。内藤新宿町の東京市編入もこの時代の大きな出来事です。西多摩郡では、菅生村、草花村、原小宮村、瀬戸岡村などが合併して多西村が誕生した例も見られます。

1930年代: 1932年（昭和7年）に東京市が大幅に拡大しました。この時、荏原郡、豊多摩郡、北豊島郡、南足立郡、南葛飾郡の多くの町村が東京市に編入され、多くの区が新設されました。品川区、目黒区、大森区、蒲田区、世田谷区、淀橋区、渋谷区、中野区、杉並区、荒川区、滝野川区、王子区、豊島区、板橋区、足立区、向島区、城東区、葛飾区、江戸川区といった、現在でも馴染みのある区が誕生した時期でもあります。また、北多摩郡砧村、千歳村なども東京市に編入されています。

1940年代: 西多摩郡では、福生村と熊川村が合併して福生町となり、箱根ヶ崎村、石畑村、殿ヶ谷村、長岡村が合併して瑞穂町が誕生しました。南多摩郡小宮町は八王子市に編入され、東京市は東京都制施行により東京府と合併し、東京都となりました。小笠原諸島、三宅島、八丈島などの島嶼部でも町村合併が行われ、新しい自治体が誕生しています。東京市から23区への再編もこの時代に起こりました。麹町区、神田区、日本橋区、京橋区、赤坂区、麻布区、芝区、四谷区、牛込区、淀橋区、小石川区、本郷区、下谷区、浅草区、本所区、向島区、深川区、城東区、荏原区、大森区、蒲田区、王子区、滝野川区などの区が廃止されています。

1950年代以降: 1950年代以降も、市町村合併による廃止が続けられました。青梅市、府中市、昭島市、町田市、八丈町、調布市、五日市町、秋多町、奥多摩町、西東京市などの市町村が誕生した反面、それらを構成する複数の町村は廃止されました。大島支庁、三宅支庁、八丈支庁管内でも、合併や統合による廃止が行われました。小笠原諸島ではサンフランシスコ講和条約の発効に伴い、いくつかの村が廃止されました。1995年には、秋川市と五日市町が合併してあきる野市となりました。2001年には、田無市と保谷市が合併して西東京市となりました。その後、2000年代後半以降は、東京都内で新たな市区町村の廃止は確認されていません。

まとめ

本稿では、東京都における市町村の廃止に関する情報を網羅的に示しました。これらの情報は、東京都の歴史や行政区域の変化を理解する上で重要な役割を果たします。各市町村の合併や統合の背景、経緯、詳細な過程については、さらに詳細な資料を参照する必要があります。それぞれの市町村の消滅は、時代の流れと行政運営の効率化という大きな流れの中で起こった出来事であり、現在の東京都の姿を形成する上で重要な要素となっています。

もう一度検索