大井川鉄道E10形電気機関車

大井川鉄道E10形電気機関車

大井川鉄道E10形電気機関車は、1949年に大井川鉄道（現在の大井川鐵道）が導入した直流用の電気機関車です。この機関車は、当時の大井川本線の電化に伴い、三菱重工業と日立製作所で製造され、運用は1950年12月1日に開始されました。

機関車の製造と特徴

E10形は全3両が製造されており、各車両にはそれぞれ異なる特徴があります。E101は1949年10月27日に三菱重工で落成し、続いてE102が11月5日に同社で、E103が日立製作所水戸工場で同年10月15日に完成しました。

この機関車は、重さが45トンで、B-Bの軸配置を持つ小型の箱形電気機関車として広く知られています。そのデザインは、同時期に製造された国鉄のEF58形やEF15形に似ているため、当時の国鉄における電気機関車のスタイルを反映しています。また、この機関車には、電気機関車としては珍しい電車用のタイフォンが採用されていますが、E103は後の改造でホイッスルに変更されています。

運用の変化

運用が開始された当初は主に貨物列車の牽引に使用されていましたが、1976年からはSL急行「かわね路号」の補助機関車として活躍するようになりました。その後、1983年には貨物の運用が終了し、2000年からはED500形と共にSL急行の補機としての運用が続いています。

さらに、1984年からは毎年夏に運行されるビール列車や、特別イベント時の客車列車の牽引、さらには新金谷車両区での入換作業など、多岐にわたって使用されています。時折、工事列車としてホキ800形を牽引することもあります。

メンテナンスと改造

E101は2011年から運用を離れていましたが、2013年から2014年にかけて新金谷車両区で手入れが行われ、運用を再開しました。この整備では、モーターや台車が他の廃車となった機関車から取り替えられ、タイフォンの変更や機器冷却用ルーバーの modificationが施されました。

大井川鐵道は、E31形の電気機関車導入にあたって既存の電気機関車の廃棄はしない意向を示していますが、製造から70年以上が経過しているため、今後の老朽化の問題が懸念されています。

E103の足跡

E103は、他の2両とは製造所が異なるため、その運命も異なります。1970年に廃車となってから岳南鉄道へ転出し、新たな機関車として活躍しましたが、最終的には1986年に再び廃車となり、大井川鉄道に戻るという経歴を持ちます。

このように、大井川鉄道のE10形電気機関車は、運用や改造の歴史を通じて多くの人々に親しまれてきました。これからもその足跡を重ねていくことでしょう。

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