大仙 (企業)

愛知県豊橋市に本社を置く株式会社大仙は、建築関連製品および額縁の製造・販売を主軸とする企業です。具体的には、農業用温室や住宅向けの外構・エクステリア製品、建物の内部に自然光を取り込むトップライト、そして様々な用途の額縁などを幅広く手がけています。その歴史は古く、創業は明治時代にまで遡ります。

同社の源流は、1892年（明治25年）に遡ります。創業者の鈴木仙吉氏が地元で大工業を始めたのがその始まりです。仙吉氏は優れた腕を持つ大工として知られ、「大工の仙吉親方」と呼ばれていました。後に会社の商号となる「大仙」は、この親方の呼び名を短くしたことに由来しています。

創業から数年後の1901年（明治34年）、同社は新たな分野への挑戦を開始します。温室の試作に成功し、以降、本格的に温室の製造に取り組むようになりました。これは、当時の農業技術の進歩に寄り添う、先見性のある事業展開でした。

現代の株式会社大仙の基礎が築かれたのは、戦後しばらく経った1960年（昭和35年）のことです。この年に「大仙工務店」として改めて会社が設立されました。その後、1966年（昭和41年）には現在の社名である「大仙」へと変更を行い、企業のさらなる発展を目指します。

事業の多角化も進められました。1971年（昭和46年）にはアルミ製額縁の製造を開始。建築分野で培ったアルミニウム加工技術を活かし、新たな市場を開拓しました。製造体制の強化も積極的に行われ、1984年（昭和59年）には新城市に新たな工場を建設しています。

企業は節目ごとに歴史を刻んできました。1991年（平成3年）には創業100周年を迎え、記念事業を実施。この年に鈴木伸治氏が社長に就任しました。1995年（平成7年）には物流機能を強化するため山田物流センターが完成したほか、海外での事業展開を見据え合弁会社PT.DWFを設立しています。2004年（平成16年）には鈴木秀典氏が社長に就任し、同年には鉄骨製作認定工場としての更新も行いました。2010年（平成22年）には会社設立50周年を祝い、豊橋工場で品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001を取得。続く2012年（平成24年）には創業120周年を迎えるなど、長きにわたり事業を継続しています。2014年（平成26年）には現在の社長である鈴木健嗣氏が就任しました。

近年においても、同社はその技術力を活かした実績を上げています。2019年（令和元年）には、株式会社サラと連携し、国内でも最大規模となる約18.3ヘクタールの広大な温室を施工しました。同年には鉄骨製作工場としての認定も更新しています。2021年（令和3年）には創業130周年を迎え、国土交通大臣許可の更新も受けました。そして比較的新しい動きとして、2024年（令和6年）には「愛知を代表する企業100選」に選出されるなど、地域経済における存在感を高めています。

関連会社としては、株式会社エクアプランとタクト株式会社があります。

また、かつて同社は硬式野球部を所有していました。本拠地は新城工場のある新城市に置き、日本野球連盟に所属して活動を行っていました。練習場としては、工場からも近い新城総合公園野球場を使用していました。しかし、1998年6月には、そのシーズン限りで休部することが発表され、チームとしての活動に幕を下ろしました。この野球部からは、プロ野球選手も輩出されています。1986年に西武ライオンズにドラフト3位で入団した投手・小川宗直氏、1990年にドラフト外で福岡ダイエーホークスに入団した投手・岡本吉守氏がいます。さらに、休部に伴い九州三菱自動車へ移籍し、後に2001年に大阪近鉄バファローズにドラフト3位で入団した投手・有銘兼久氏も、大仙野球部に在籍していました。

株式会社大仙は、創業以来、ものづくりと建築の技術を核に事業を拡大し、時代のニーズに応えながら発展を続けています。温室から住宅関連、額縁に至るまで、幅広い製品・サービスを通じて社会に貢献している企業です。

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