大内山牛乳

大内山牛乳とは

大内山牛乳は、三重県度会郡大紀町大内山に本所を構える大内山酪農農業協同組合が生産する牛乳です。地域団体商標として登録されており、その品質と地域性が保証されています。登録の規定では、三重県度会郡大紀町大内山地域およびその周辺地域で生産され、同地域で処理・加工された牛乳のみが大内山牛乳と名乗ることができます。

名称は大内山牛乳ですが、生産地域は大紀町大内山地区に限定されず、三重県内の広範囲に及んでいます。また、牛乳だけでなく、多種多様な乳製品が商品展開されています。

大内山酪農農業協同組合について

大内山酪農農業協同組合は、三重県度会郡大紀町に本所を置く酪農専門の農業協同組合です。三重県牛乳協同組合に加盟しており、組合員の事業と乳業事業を運営しています。県内の集乳量の約半分を集荷する、県内有数の規模を誇る事業者です。

こだわりの牛乳づくり

「良質な牛乳づくりは健康な牛作りから」をモットーに、独自の安全基準と牛の健康管理を徹底し、高品質な牛乳の生産に力を入れています。組合員は三重県内16市町に分布し、約4,000頭の牛を飼育しています。

本所前のガードレールは牛柄に塗装され、乳牛の像が設置されており、訪れる人を楽しませています。このユニークなガードレールは、組合関係者によって手作業で塗装されました。

歴史

1944年に南勢酪農組合の大内山支部として発足し、1948年に独立して大内山酪農農業協同組合となりました。

1960年より学校給食への供給を開始し、1972年には朝日農業賞を受賞しました。1975年からは生活協同組合（生協）との取引を開始し、生産量を拡大しました。

1995年には、アイスクリームの販売を開始するなど新商品展開を行うとともに、観光資源化にも取り組みました。国土庁の「過疎地域滞在施設整備モデル事業」の適用を受け、牛乳風呂を呼び物とする「グリーンパーク大内山」を開業。同年には組合直営の「大内山ふれあい牧場」を開設し、牛や羊とのふれあいや搾乳体験を提供しました。

2000年の雪印集団食中毒事件の際には、雪印乳業の牛乳を取り扱っていた小売店からの注文が殺到し、需要に追い付かなくなる事態も発生しました。

2001年には四日市乳業協同組合と業務提携し、同組合の牛乳製造部門を大内山酪農に統合。「四日市牛乳」のブランド名を「大内山牛乳」に統一しました。2007年には大内山牛乳を地域団体商標登録しました。

2011年より、餌に飼料用米と稲発酵粗飼料（WCS）を使用するようになり、循環型農業を推進しています。同年には、紀勢自動車道紀勢大内山インターチェンジ付近に牛乳パックのモニュメントを建設しました。

生産と流通

本所の牛乳工場では、毎日県内各地から原乳が運ばれてきます。徹底した品質管理のもと、牛乳はパックや瓶に詰められ、冷蔵倉庫で保管された後、各地へ出荷されます。年間生乳生産量は約33,000トン、1日の牛乳処理能力は約100トンです。

主力製品の大内山牛乳のほか、低脂肪乳、コーヒー牛乳、フルーツ牛乳、飲むヨーグルトなどの飲料、チーズ、バター、牛乳プリン、アイスクリームなどの食品も生産しています。

製品は三重県を中心に、東海地方・近畿地方で販売されており、高速道路のサービスエリアなどでも見かけることができます。生協との取引が4割、販売店と量販店が2割、学校給食が15%を占めています。特に学校給食では高いシェアを誇り、毎日約10万本が供給されています。

閉鎖された施設

1995年に開業したグリーンパーク大内山と大内山ふれあい牧場は、残念ながら2013年に閉鎖されました。

コロナ禍の影響

2020年には、コロナ禍による学校の臨時休校で給食が中止となり、牛乳の供給に影響が出ました。しかし、伊勢農業協同組合や伊勢市役所などが職員による牛乳の購入を申し出るなど、地域全体で支え合う動きが見られました。

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