コーヒー牛乳

コーヒー牛乳とは

コーヒー牛乳は、牛乳などの乳製品にコーヒーで味付けした飲料です。砂糖などを加えて甘みを調整することもあります。そのまろやかな味わいは、多くの人々に愛されています。

歴史

日本

コーヒー牛乳の歴史は、1917年頃の日本に遡ります。大阪府の小学校校長であった澤田信治氏が、生徒のためにコーヒー牛乳やオレンジ牛乳を考案したのが始まりとされています。

その後、1923年には神奈川県の守山乳業が瓶入りのコーヒー牛乳を製造し、東海道本線の国府津駅で販売を開始しました。当時、日本ではまだ馴染みの薄かった牛乳とコーヒーを広めるため、創業者が試行錯誤の末に開発したと言われています。高価な商品でしたが、その評判は瞬く間に広まり、各地の駅で販売されるようになりました。このコーヒー牛乳は王冠で栓がされており、「空瓶を車外に投げ捨てることは危険ですから腰掛けの下にお置きくださるか又はお持ち帰りください」という注意書きが添えられていました。守山乳業は、4月20日を「珈琲牛乳の日」と制定しています。

銭湯や温泉では、瓶入りの牛乳やフルーツ牛乳と並んで、定番の飲み物として親しまれてきました。

制度上の位置づけ

1960年代には、「〇〇牛乳」と名付けられた乳飲料が数多く市場に出回りましたが、品質にばらつきがありました。そのため、1968年に牛乳業界は消費者団体の意見を取り入れ、牛乳表示の公正競争規約を策定しました。この規約により、コーヒー牛乳をはじめとする「牛乳」を名乗る乳飲料は、乳脂肪分3%以上、無脂乳固形分8%以上を含むことが義務付けられました。また、人工甘味料や着色料、香料を使用する場合は、その旨を表示することが定められました。

2000年に発生した雪印集団食中毒事件をきっかけに、2001年に飲用乳の表示に関する公正競争規約が改正されました。2003年以降は、生乳100%のものだけが「牛乳」と表記できることになり、コーヒー牛乳は「コーヒー入り乳飲料」として扱われるようになりました。そのため、商品名は「カフェ・オ・レ」や「カフェ・ラッテ」、「ミルクコーヒー」といった外来語、または単に「コーヒー」という表記に変更される傾向にあります。

アメリカ合衆国

アメリカでは、1930年代初頭にロードアイランド州でコーヒー牛乳が提供されるようになりました。簡易食堂やドラッグストアが新しい飲み物としてコーヒー牛乳を提供し、人気を集めました。特に、甘くしたコーヒーに牛乳を加えたシロップが好評で、ロードアイランド州とマサチューセッツ州南東部で広く飲まれるようになりました。1993年には、コーヒー牛乳はロードアイランド州の公式飲料に指定されました。

著名な愛飲者

アメリカのプロレス団体「WWE」のレスラーであるジョン・シナは、来日時にコーヒー牛乳を大変気に入り、マイクパフォーマンスに取り入れるなどして話題になりました。

製造上の特性

コーヒー牛乳の製造においては、乳成分の凝固や沈殿を防ぐために、コーヒー抽出液のpHを調整する必要があります。具体的には、pH5.0程度のコーヒー抽出液を、pH6.5からpH7.0に調整した後、乳成分を加えて殺菌処理を行います。しかし、このpH調整の過程で、コーヒーの香気成分の一部が失われてしまうという課題があります。

コーヒー牛乳に類似した飲料

コーヒー牛乳と似たような飲料は数多く存在します。それぞれの特徴を以下にまとめました。

カフェ・オ・レ: ドリップコーヒーとスチームミルクを1:1の割合で混ぜたもの。
カフェ・マキアート: エスプレッソに少量のフォームドミルクを注いだもの。
カフェ・ラッテ: エスプレッソとスチームミルクを1:1の割合で混ぜたもの。
カプチーノ: エスプレッソにスチームミルクとフォームミルクを1:1:1の割合で混ぜたもの。
カルーア・ミルク: コーヒーリキュールであるカルーアを牛乳で割ったカクテル。
メランジェ: エスプレッソにスチームミルクとミルクの泡を乗せたもの。

参考文献

菊地武顕『あのメニューが生まれた店』平凡社、2013年

関連項目

缶コーヒー
UCCミルクコーヒー
マックスコーヒー
雪印コーヒー
ミルクティー
コーヒーフレッシュ
クリーミングパウダー

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