大分市歌

大分市歌は、大分県の県庁所在地である大分市によって定められた、市の象徴となる歌です。市の歴史の中で、これまでに3つの異なる世代の市歌が生まれました。

• - 初代：1928年（昭和3年）制定。作詞：須賀金夫、作曲：山田耕簗。
• - 2代目：1963年（昭和38年）制定。作詞：市歌審査委員会、作曲：中野静雄。
• - 3代目（現行）：1983年（昭和58年）制定。作詞：竹森カヨ、作曲：中山悌一。

現在、大分市で使用されているのは、この3代目の市歌です。

現行の大分市歌（3代目）

現在の「大分市歌」は、1963年の（旧）大分市と鶴崎市などによる新設合併を経て誕生した新たな大分市が、発足20周年を迎えた1983年（昭和58年）に制定されたものです。これは3代目の市歌にあたります。

歌詞は、同年3月1日付の『市報おおいた』で市民から公募され、竹森カヨ氏の作品が選ばれました。作曲は、地元大分出身の声楽家、中山悌一氏に委嘱されました。完成した市歌は、同年7月16日の「新大分市発足20周年記念式典」で、市民憲章の発表に続いて初めて演奏されました。

1983年12月15日発行の『市報おおいた』では、この歌が「歴史ある大分のまちと、未来へ向かって躍進する大分」を表現しているとその意義が紹介されています。歌詞の一番では、戦国武将・大友宗麟が現在の街の基礎を築いた功績に触れており、このように特定の歴史上の人物を称える内容を含むのは、戦後に作られた自治体の歌としては比較的稀な特徴と言えます。

大分市役所では、この市歌が「毎朝、業務開始前に庁内放送で流れ、また市が主催する様々な式典でも斉唱されている」と説明しています。2005年（平成17年）に佐賀関町、野津原町を編入合併しましたが、旧両町には市歌がなく町民音頭のみだったため、合併協議で市歌の扱いは議論されず、大分市歌が引き続き使用されることとなりました。

過去の大分市歌

現行市歌の制定以前には、以下の2つの市歌が存在しました。

初代（1928年制定）

初代の「大分市歌」は、1928年（昭和3年）に制定されました。「当時の大分市の発展と、市民が市の将来的な進展に貢献することを目指す」目的で、同年5月3日から6月15日まで歌詞の懸賞募集が行われました。75篇から、二等入選作である速見郡杵築町（現在の杵築市）からの応募作が採用されました。

楽譜は1931年刊『山田耕簗全集』に収録されていますが、市役所では早くに行方不明となり、『大分市教育史』などには歌詞のみ掲載されていました。作詞者須賀金夫氏は、1961年の市制50周年行事で楽譜が見つからず困った際、市民からの提供で演奏できたというエピソードを当時の市長から聞いたと回顧しています。

2代目（1963年制定）

2代目の「大分市歌」は、1963年（昭和38年）に制定されました。1961年の市制50周年を記念するものでしたが、この時期に合併協議も進んでいたため、歌詞募集の広報は限定的でした。

1961年9月の審査委員会では、約200篇から佳作2篇のみで入選作は出ず、作詞は市歌審査委員会の共同名義となりました。作曲は引き続き募集され、1963年1月15日付市報で、作曲家中野静雄氏の応募作採用が発表されました。

発表演奏は、同年3月の新市発足と前後した時期と考えられますが、市報や『大分市史』に記述はありません。この2代目市歌は、20年後に3代目へと引き継がれました。

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