大原総一郎

大原總一郎

大原總一郎（おおはら そういちろう、1909年7月29日 - 1968年7月27日）は、昭和期に活躍した日本の実業家であり、倉敷紡績（現クラボウ）と倉敷レイヨン（現クラレ）の社長を歴任しました。大原孫三郎を父に持ち、その薫陶を受けながら、戦後の日本経済の復興と発展に大きく貢献しました。正式な表記は大原總一郎（読みは同じ）です。

生涯

1909年、大原總一郎は倉敷紡績社長であった大原孫三郎・寿恵子夫妻の長男として、現在の岡山県倉敷市新川町に生まれました。幼少期から恵まれた環境で育ち、1929年3月には第六高等学校文科乙類を卒業、1932年3月には東京帝国大学経済学部経済学科を卒業し、倉敷へと帰郷しました。

同年11月には倉敷絹織（現在のクラレ）に傭員として入社し、1934年3月には正式な社員となりました。1937年からの2年間はヨーロッパに滞在し、海外の先進的な技術や経営手法を学びました。帰国後の1938年12月には倉敷絹織の常務取締役に就任し、1939年1月には倉敷紡績の取締役にも就任しました。

1939年5月には倉敷絹織の社長に就任し、1941年1月には倉敷紡績の社長にも就任しました。戦時下の困難な状況の中、両社の経営を担い、1944年には倉敷紡績の社名を倉敷工業へと変更しました。

戦後、1947年8月には物価庁次長に就任し、政府の経済政策にも関与しました。同年12月には昭和天皇の戦後巡幸の際、倉敷市の別邸である有隣荘を宿泊所として提供しました。1948年10月には関西経済連合会常任理事に就任し、関西経済の発展にも尽力しました。

1949年1月にはビニロンの工業化を決意し、同年4月には倉敷絹織の社名を倉敷レイヨンへと変更しました。ビニロンは日本の化学繊維産業の発展に大きく貢献し、大原總一郎の功績として特筆されます。

文化面では、1951年に大原美術館においてマチス展、ピカソ展を開催するなど、美術振興にも貢献しました。1957年4月からは東京大学経済学部非常勤講師として「化学繊維工業論」の講義を行い、後進の育成にも力を注ぎました。1963年には中国へのビニロンプラント輸出が日本政府により許可され、国際的な経済交流にも貢献しました。1964年8月には大原美術館理事長に就任し、美術館の運営に尽力しました。

1968年7月、直腸癌のため死去。カトリックの洗礼を受けていた妻の勧めで、自身も洗礼を受けました。洗礼名はヨセフ。

家族・姻戚関係

妻は侯爵野津鎮之助・末弘ヒロ子の次女・真佐子です。長女・麗子は、テレビプロデューサー大原れいこで、犬養健の長男（犬養毅の孫）犬養康彦に嫁ぎました。次女・泰子は正田英三郎の次男（上皇后美智子の弟）正田修に嫁ぎました。

関連項目

大原孝四郎（祖父）
大原孫三郎（父）
大原寿恵子（母）
大原謙一郎（長男）
大原あかね（孫）
倉敷民藝館
日本民藝館 - 没時まで理事長（父子で民藝運動を支援）
日本民藝協会 - 没時まで会長

大原總一郎は、実業家としてだけでなく、文化人としても多大な功績を残しました。彼の先見性と行動力は、現代においても学ぶべき点が多くあります。

もう一度検索