大友伸

大友伸：東宝映画を彩った名脇役

大友伸（おおとも しん、1919年4月13日 - 1988年11月16日）は、日本の俳優、映画プロデューサーである。戦前から映画界に身を投じ、昭和期の東宝映画において数々の作品で重要な脇役を演じたことで知られる。特に東宝の看板シリーズの一つである「社長シリーズ」への出演は、彼のキャリアを象徴するものである。

初期の活動とプロダクション設立

秋田県に生まれた大友は、戦前からいくつかの映画に出演し、経験を積んだ。1949年には、自身の映画製作会社「大伸プロダクション」を設立。俳優活動と並行して、映画製作にも関わるようになった。代表作の一つとして挙げられるのは、1952年に公開された伊藤和夫・真弓典正監督の映画『天城の決闘』である。この作品では、俳優として出演するだけでなく、映画スタッフとして製作にも携わった。この経験は、後の彼のキャリアに大きな影響を与えたと考えられる。

東宝専属俳優としての活躍

1954年、大友は東宝の専属俳優となった。この転機をきっかけに、彼の活躍の場は大きく広がる。黒澤明監督作品をはじめとする東宝特撮映画や、国民的人気を博した「社長シリーズ」など、数多くの作品に出演。特撮映画では、怪獣や悪役を演じることが多かった。一方、「社長シリーズ」では、サラリーマンや企業関係者といった、庶民的な役柄を演じ分けるなど、幅広い演技力を示した。これらの作品を通して、大友は個性的な脇役として、多くの観客に強い印象を残した。

多様な役柄と主要出演作品

大友の出演作品は多岐に渡る。時代劇、現代劇、コメディ、そして特撮映画と、ジャンルを問わず幅広く活躍した。代表的な作品としては、黒澤明監督の『七人の侍』、『蜘蛛巣城』、『隠し砦の三悪人』、ゴジラシリーズの『ゴジラの逆襲』、『キングコング対[[ゴジラ]]』、『モスラ対ゴジラ』、そして「社長シリーズ」の多くの作品などがある。これらの作品において、彼は主役を支える重要な脇役として、作品に深みと奥行きを与えた。

キャリアの終焉と不明な晩年

1970年以降、大友伸に関する情報はほとんど途絶える。彼の晩年の活動や消息は、現在も不明なままである。数多くの名作に出演し、日本映画史に貢献した彼のキャリアは、謎に包まれたまま幕を閉じたと言えるだろう。

参考文献

『東宝特撮映画全史』（監修：田中友幸、東宝出版事業室）
『ENCYCLOPEDIA OF GODZILLA ゴジラ大百科 [メカゴジラ編]』（監修：田中友幸、責任編集：川北紘一、Gakken）
* 『東宝特撮映画大全集』（執筆：元山掌、松野本和弘、浅井和康、鈴木宣孝、加藤まさし、ヴィレッジブックス）

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