大味久五郎

大味久五郎について

大味久五郎（おおみ / おおあじ きゅうごろう）は、1874年（明治7年）2月24日に石川県金沢市で生まれ、1943年（昭和18年）に亡くなった日本の官僚です。内務省や警察で要職を歴任し、沖縄県知事や小樽区長を務めました。彼の経歴は、日本の近代化が進む中で、行政官僚が果たした役割を理解する上で重要です。

生い立ちと教育

大味久五郎は、旧加賀藩士の長男として生まれました。1894年7月に第四高等中学校を卒業後、1897年7月には東京帝国大学法科大学を卒業しました。これらの学歴は、彼が官僚として活躍するための基盤となりました。

官僚としてのキャリア

大学卒業後、大味は拓殖務省に入省しましたが、すぐに同省が廃止されたため内閣属・台湾事務局に転じました。その後、1898年12月に文官高等試験行政科試験に合格し、1899年1月に内務省へと移り、内務属として大臣官房文書課兼警保局に勤務しました。その後、香川県や奈良県で参事官、警部長を歴任し、山梨県、福島県、山口県、青森県、徳島県、山形県といった各地で警察部長や内務部長を歴任しました。これらの経験を通じて、地方行政の実務に精通し、警察官僚としての能力を磨きました。

沖縄県知事としての活動

1914年6月9日、大味は第2次大隈内閣によって沖縄県知事に任命されました。当時の沖縄県政は、政友会が勢力を握っていましたが、大味は立憲同志会の勢力を拡大しようとしました。そのため、県政に対して強硬な姿勢で臨み、県会決議を無視するなどの行為が、県民からの反発を招き、排斥運動へと発展しました。また、「沖縄県産業十年計画」を立案しましたが、1916年4月28日に知事を休職したため、この計画は実現しませんでした。そして、1917年4月16日に依願免本官となり、沖縄県知事を退任しました。沖縄県知事としての活動は、その後の沖縄県政に大きな影響を与えることとなりました。

小樽区長としての活動

沖縄県知事を退任後、1919年10月4日に大味は小樽区長に就任しました。小樽区長としての具体的な活動内容については、詳細な記録は少ないものの、彼の行政手腕は、この地でも発揮されたと考えられます。

晩年と死去

大味久五郎は、1943年に生涯を閉じました。彼の功績は、内務・警察官僚として、また沖縄県知事や小樽区長として、日本の行政に大きく貢献した点にあります。彼のキャリアは、日本の近代化における官僚の役割を考える上で、重要な事例を提供しています。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
沖縄大百科事典刊行事務局 編『沖縄大百科事典 上巻』沖縄タイムス社、1983年5月30日。
内閣「大味久五郎北海道小樽区長就任ノ件」大正8年。国立公文書館
* 『東洋 3月号』東洋協會、1943年。

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