大型紫外可視近赤外線宇宙望遠鏡

大規模紫外線可視近赤外線 宇宙望遠鏡（LUVOIR）

大型紫外線可視近赤外線宇宙望遠鏡（LUVOIR）は、NASAが主導する多波長宇宙望遠鏡のコンセプトです。この計画は、2020年の米国科学アカデミーによる天文・天体物理学10年サーベイに向けて検討された4つの大型天体物理学宇宙ミッション構想の一つとして浮上しました。

LUVOIRは、汎用観測装置として、居住可能な惑星を含む広範な太陽系外[[惑星]]の特性を詳細に調査することを主要な目標としています。さらに、宇宙の再電離時代から銀河の形成と進化、星や惑星の誕生まで、幅広い天体物理学のテーマに取り組むことが期待されています。太陽系天体の高精度な撮像・分光観測も可能であり、2020年代の開発開始を目指しています。

LUVOIRの研究チームは、直径15.1mの望遠鏡を持つLUVOIR-Aと、直径8mの鏡を持つLUVOIR-Bという2種類の設計を検討しています。これらの望遠鏡は、紫外線、可視光線、近赤外線の波長で観測を行うことができ、5年間のミッション構想調査の最終報告書は2019年8月26日に公開されました。

2021年11月4日、2020年の天体物理学10年サーベイでは、生命の兆候を探査する目的で、大口径（約6m）の赤外線/光学/紫外線宇宙望遠鏡の開発が推奨されました。このミッションは、LUVOIRとHabExの両方のミッションコンセプトを活用することが示唆されています。

背景

2016年、NASAは将来の大規模戦略科学ミッションのために、4つの異なる宇宙望遠鏡の概念検討を開始しました。これには、居住可能な太陽系外[[惑星]]のイメージングミッションであるHabEx、LUVOIR、Lynx X線天文台、そしてOrigins宇宙望遠鏡（OST）が含まれています。2019年には、各チームが最終報告書を全米科学アカデミーに提出しました。この報告書を基に、全米科学アカデミーの独立した10年調査委員会が、どのミッションを優先すべきかをNASAに助言しています。もし資金が提供されれば、LUVOIRは2039年頃に大型ロケットで打ち上げられ、太陽-地球ラグランジュ2軌道に配置される予定です。

ミッションの目的

LUVOIRの主な目的は、太陽系外[[惑星]]、宇宙の起源、そして太陽系を調査することです。具体的には、以下の点が挙げられます。

太陽系外[[惑星]]の大気や表面の構造と組成の分析
太陽系外[[惑星]]の大気中に存在する生命の痕跡の検出（CO2、CO、O2、O3、H2O、CH4などのバイオマーカーの探索）
恒星の紫外線がハビタブル惑星の大気光化学に与える影響の解明
様々な特性を持つ多数の太陽系外[[惑星]]の観測を通じて、太陽系を惑星系の広い文脈の中に位置づける

天体物理学の分野では、宇宙の遠方における構造、銀河の形成と進化、星と惑星系の誕生といったテーマを調査します。また、太陽系研究においては、木星の高解像度撮像や、その他の惑星の大気ダイナミクスを詳細に観測します。さらに、彗星、小[[惑星]]、月、カイパーベルト天体などの高感度・高解像度観測を通じて、太陽系の形成過程に関する重要な情報を取得することを目指しています。

デザイン

LUVOIRには、地球のような太陽系外[[惑星]]を直接観測するための内部コロナグラフ機器「ECLIPS」が搭載されます。また、小型のLUVOIR設計（LUVOIR-B）では、外部スターシェードもオプションとして検討されています。その他に、高解像度イメージャー（HDI）、広視野近紫外線、光学、近赤外線カメラ、LUMOS、POLLUXといった科学機器も検討されています。特に、POLLUXはヨーロッパのコンソーシアムによって開発が進められています。

LUVOIRは、遠紫外から近赤外までの波長域で観測が可能で、高い波面安定性を実現するために、以下の3つの設計指針を取り入れています。

1. 観測所全体の振動や機械的な外乱の最小化
2. 望遠鏡とコロナグラフの両方におけるアクティブオプティクスによる波面制御
3. 望遠鏡を270K（-3℃）に加熱することによる熱外乱の抑制

LUVOIR-A

LUVOIR-Aは、以前は高精細宇宙望遠鏡（HDST）として知られており、36個のミラーセグメントから構成される直径15.1mのミラーを搭載しています。これはハッブル[[宇宙望遠鏡]]の最大24倍の鮮明な画像を提供します。LUVOIR-Aは、比較的近くにある数十の地球型惑星を研究するのに十分な大きさであり、星や惑星に崩壊する途中の銀河核やガス雲などの分解能も備えています。

LUVOIR-Aは折りたたみ式で、8m幅のペイロードフェアリングに収めることができます。初期費用の見積もりは約100億ドルで、生涯費用は180億ドルから240億ドルと見積もられています。

LUVOIR-B

LUVOIR-Bは、ハッブル[[宇宙望遠鏡]]（HST）とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡（JWST）の科学運用センターである宇宙望遠鏡科学研究所が開発した、以前は先進技術大口径宇宙望遠鏡（ATLAST）として知られていた8m級の望遠鏡です。LUVOIR-Aより小型ですが、JWSTの5〜10倍の角度分解能と、HSTの最大2,000倍の感度限界を実現するように設計されています。

LUVOIR-Bは、HSTのように無人宇宙船やオリオン、スターシップを介して宇宙飛行士が整備を行えることを想定しています。カメラなどの機器は交換され、部品の分析や将来のアップグレードのために地球に戻される可能性があります。LUVOIR-Bは、JWSTの設計を継承しており、6.5mの分割主鏡を持つJWSTをわずかに大きくした構造です。

太陽電池で動作し、内部コロナグラフや外部オキュラスを使用して、140光年までの距離にある長寿命の星のハビタブルゾーンにある地球型太陽系外[[惑星]]の大気、表面、自転速度、気候、居住性などの特性を明らかにできます。また、地表の特徴、雲や気候の変化、地表植生の季節変化などの情報も取得可能です。LUVOIR-Bは、業界標準の直径5mの打ち上げフェアリングを備えた重量級ロケットで打ち上げられるように設計されており、生涯コストは120億ドルから180億ドルと見積もられています。