大場久八

大場久八の生涯と業績

大場久八（だいばのきゅうはち）は、文化11年（1814年）に生まれ、明治25年（1892年）までの間、江戸後期の博徒として知られた人物です。彼は本名を森久治郎といい、主に伊豆、甲斐、武蔵、相模において約3000人の部下を持つ大親分として君臨しました。特に、東京湾岸のお台場の建設に貢献した業績は高く評価されています。

生い立ちと初期の経歴

大場久八は、伊豆国間宮村に育ち、百姓の家に生まれました。天保13年（1842年）、彼は28歳の頃に賭博で逮捕され、五人組から追放されることになります。この出来事が彼の無職渡世の始まりとなりました。その後、彼は甲斐国の人切り長兵衛の下で博徒としての修業をスタートさせます。

この期間に、彼は後の兄弟分である竹居安五郎や豪商の天野海蔵と契りを結んでいます。再び伊豆に戻ると、志津という女性と結婚するものの、妻の弟は名高い貸元で、これも彼の博徒としての地盤を固める要因となります。

奮闘と成功

嘉永2年（1849年）、大場久八は先に兄弟分を殺した敵との決闘を通じてさらに名を高めます。決闘で両者に傷を負わせたものの、自身も部下を失うなど厳しい結果でした。その年の後半には、上野国の有力博徒である大前田英五郎と兄弟の誓いを交わし、その後の力関係も影響を及ぼします。

嘉永6年（1853年）には、品川台場の工事に関与し、賃金不払いの問題を解決するために部下を引き連れて働きかけました。この際、彼が取った策は、作業者に食事と日当を提供し、また銭樽を用意して士気を高めるものでした。この取り組みにより、彼は「台場の親分」として崇敬されることになり、「大場久八」という名が広まる契機となりました。

明治維新後の生活

明治元年（1868年）に入ると、彼は官軍に捕まり、甲府の牢に入れられましたが、すぐに解放されました。その後、彼は三島の玉屋佐十郎に博徒の跡目を譲り、足を洗い百姓としての生活を始めます。

彼の晩年は質素なもので、食事は一汁一菜の質素なものであり、服装も木綿一筋で通しています。これに関しては、彼の生き方や哲学を垣間見ることができます。

大場久八の死

明治25年12月、大場久八は上州への旅の最中、山梨県で中風にかかり、12月3日に亡くなりました。彼の墓は静岡県の広渡寺にあります。彼の生涯は、伊豆の大親分としての激動の歴史を物語っています。大場久八は、その人柄と行動力から、今なお多くの人に語り継がれる存在です。

逸話と特徴

久八は、素人衆に対して常に謙虚な態度を保ち、百姓と同席することを避けるなど、特異な行動で知られていました。また、長身で力強い体格を持ち、日常的に畑仕事を行いながらも博徒としての生活を全うしていました。さらに彼は、慶応四年には「辰巳隊」を結成し、戦争にも加わるなど、波乱に満ちた人生を歩んだのです。

もう一度検索