大岡助右衛門

大岡助右衛門：北海道開拓を支えた請負師

大岡助右衛門（おおおか すけえもん）は、天保7年（1836年）に武蔵国大岡村（現在の横浜市南区大岡）に生まれ、明治35年（1902年）に没した、幕末・明治期の北海道で活躍した建設業者です。

箱館から札幌へ

大工として腕を磨いた後、五稜郭建設に携わった中川源左衛門の元で頭角を現し、箱館へと移ります。中川組の中心人物として数々の工事を担い、箱館戦争後の旧幕府軍兵士の遺体埋葬にも尽力しました。

明治3年（1870年）には、札幌本府の建設開始に伴い、中川組に工事を受注するよう進言します。自らも大工頭として、函館や青森、秋田から集められた職人たちを率いて札幌に入り、二代目中川源左衛門を支えました。その後独立し、札幌の請負業界で中心的な存在として活躍しました。

札幌の近代化に貢献

豊平館、琴似・山鼻・篠路の屯田兵屋、札幌農学校寄宿舎、創成学校、藻岩学校、羅卒屯所（警察署）、豊平橋、小樽入船町波止場、幌内鉄道敷設工事など、札幌の主要な建造物やインフラ整備に携わりました。和風建築から洋風建築への転換にも対応し、事業を成功させます。

工事で得た利益で札幌とその近郊に広大な土地を購入し、北海道炭礦鉄道初代社長の堀基と並び称される大地主となりました。

社会貢献と晩年

明治17年（1884年）から明治21年（1888年）まで札幌区第5部総代人を務め、北海道庁からの諮問にも応じるなど、公共の福祉にも貢献しました。晩年は経王寺に閑居し、余生を過ごしました。

没後17年経った大正8年（1919年）には、「札幌開創功労者」として顕彰され、中島公園に顕彰碑『四翁表功之碑』が建立されました。

人柄と信仰

熱心な日蓮宗の信者であり、明治8年（1875年）には自らの所有地を寄進して経王寺を建立しました。建設費用もほとんどを大岡が負担したと言われています。剛腹な性格で公益事業にも積極的に出資しましたが、博打を好んだため、多くの遺産は残しませんでした。家庭的には不遇で、息子の長吉を豊平橋建設工事中の事故で亡くしています。

大岡助右衛門は、北海道の近代化に大きく貢献しただけでなく、社会福祉や信仰にも篤い人物でした。その功績は、今も札幌の街並みに息づいています。

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