大岡忠移 (旗本)

大岡忠移は、江戸時代中期に活躍した旗本のひとりです。大岡忠陣の次男として生まれ、2267石（または2300石）の知行地を有していました。

忠移の生涯は、兄の跡を継ぐことから始まります。元文元年（1736年）、小普請を務めていた兄・忠斟（ただよし、隼之助）が家督を継ぐ前に亡くなったため、忠移が家督を相続しました。

その後、宝暦11年（1761年）9月28日、忠移は山田奉行に就任します。山田奉行は、江戸幕府の役職のひとつで、主に山田(現在の東京都新宿区周辺)の行政を司っていました。25代目の山田奉行として、その職務に当たりました。しかし、その任期は長くありませんでした。宝暦13年（1763年）6月1日には、長崎奉行に転任することになります。

長崎奉行としての職務は、貿易管理などが主な業務でした。当時、長崎は鎖国下の日本において、唯一外国との貿易が許された港でした。忠移は、長崎奉行として、中国貿易の再編という重要な任務を担いました。同職の石谷清昌（備後守）と共に、この難題に取り組みました。貿易の活性化や円滑な運営、あるいは外交面での対応など、多岐にわたる業務に尽力したと考えられます。具体的な政策やその成果については、史料の不足から不明な点も多いですが、当時の国際情勢や貿易状況を鑑みると、その役割は非常に重要であったと言えるでしょう。

長崎奉行としての職務は、約1年間でした。宝暦14年（1764年）、忠移は長崎奉行を辞任し、同年中に41歳（または45歳）で亡くなりました。享年については史料によって食い違いが見られます。

家督は、養子である忠順（ただまさ、大岡忠恒の次男）が継承しました。忠移の死後、大岡家は忠順によって存続することになります。

大岡忠移は、短い生涯でしたが、山田奉行、長崎奉行として幕府に貢献し、中国貿易の再編にも関わった重要な人物でした。その功績は、歴史の表舞台には必ずしも出てこないかもしれませんが、幕府運営や日中の貿易関係に少なからず影響を与えたことは確かでしょう。彼が残した足跡は、幕末期に至る日本の歴史を理解する上で重要な要素の一つであると言えるでしょう。

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