石谷清昌

石谷清昌について

石谷清昌は、江戸時代中期の旗本で、その生涯は多岐にわたる役職を歴任し、幕府に貢献しました。彼の出自は必ずしも明確ではありませんが、石谷氏を称し、幕府の要職を歴任した人物として知られています。

生涯

石谷清昌の父、石谷清全は、紀州徳川家の家臣の出身で、後に石谷氏に復したとされます。しかし、清昌の母は紀州徳川家家臣の娘とされており、石谷氏との血縁関係は不明な点も残されています。

清昌は、享保16年（1731年）に将軍徳川吉宗に初めて謁見し、その2年後には御小納戸に任じられました。さらに、布衣の着用を許され、吉宗の放鷹にも従事し、その際に鳥を射落としたことで褒美を賜ったという逸話も残っています。その後、御小姓を経て、元文5年（1740年）には従五位下備後守に叙任されました。

延享元年（1744年）に家督を相続し、西城に勤務した後、宝暦元年（1751年）に吉宗が亡くなったため、一時的に役目を解かれます。しかし、翌年には西城の小十人頭として復帰し、その後も御目付、佐渡奉行、勘定奉行、長崎奉行と重要な役職を歴任しました。

特に、長崎奉行として江戸に戻る際、水害に見舞われた地域を巡検し、その功績により褒美を賜っています。また、長崎奉行の兼務を解かれた後には、領地も加増されています。

安永4年（1775年）には、徳川家治の日光社参の際に街道の監視を担当し、その功績によって再び褒美を賜りました。また、田安徳川家の家老も兼務しています。

勘定奉行を20年務めた後、留守居となり、天明2年（1782年）に職を辞して寄合に列し、その年のうちに亡くなりました。

佐渡金山の水替人足制度

石谷清昌が特に注目されるのは、勘定奉行在職中に発案した佐渡金山の水替人足制度です。これは、当時江戸周辺に流入していた無宿者を佐渡に送り、鉱山内の排水作業に従事させるというものでした。この制度は、犯罪の予防と江戸の浄化を目的としており、刑罰としての遠島とは区別され、「島送り」と呼ばれました。

この制度は、佐渡奉行の反対もあったものの、清昌によって強引に進められ、毎年多くの無宿者が佐渡に送られました。この制度は、当時の社会情勢と治安維持に対する幕府の強い意志を示すものであり、清昌の功績の一つとして語り継がれています。

子女

石谷清昌には、多門という息子がいましたが早世しました。娘は磯野政典、石谷因清に嫁いでいます。また、石谷清定という息子もおり、彼は従五位下豊前守に叙任されました。清定は、田沼意誠の子である石谷清豊を養子に迎え、家督を継がせました。また、菅沼主膳正虎の娘を養女にしましたが、後に実家に戻ったとされています。

まとめ

石谷清昌は、江戸時代中期に幕府の要職を歴任し、その才能を発揮した人物です。特に、佐渡金山の水替人足制度は、当時の社会問題を解決するための斬新な発想であり、彼の業績として特筆すべき点です。彼の生涯は、江戸時代の政治と社会を理解する上で重要な手がかりとなるでしょう。

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