大島大橋 (愛媛県)

大島大橋

概要

愛媛県今治市に位置する大島大橋（おおしまおおはし）は、瀬戸内海に架かる「しまなみ海道」（西瀬戸自動車道、国道317号バイパス）の一部を形成する橋梁です。大島と見近島を結び、隣接する伯方橋と連続構造であるため、一般的には「伯方・大島大橋」と総称されます。伯方島と大島が最も接近する「宮窪瀬戸」という場所に架けられており、形式は単径間2ヒンジ補剛箱桁吊橋です。1988年1月17日に供用が開始されました。

構造と規模

• - 形式: 単径間2ヒンジ補剛箱桁吊橋
• - 橋長: 840メートル（側径間 140m + 中央径間 560m + 側径間 140m）
• - 中央径間: 560メートル
• - 路線名: 国道317号（西瀬戸自動車道）
• - 道路構造: 第1種3級
• - 設計速度: 80km/h （規制速度: 70km/h）
• - 車線数: 暫定2車線

初期投資抑制のため、建設時は幅員23.7メートルの橋面を暫定的に片側2車線の車道と4メートルの自転車歩行者道として供用する設計でした。将来の4車線化に備え、橋桁の両側を2.9メートルずつ張り出すことで、両側に2.5メートルの管理路が確保できる構造となっています。

設計上の特色

大島大橋の設計には、いくつかの特筆すべき点があります。主塔は、周辺の豊かな自然景観との調和を図るため、桁の上下で分割された二層ラーメン構造が採用されています。

また、補剛桁構造には、日本国内の吊橋として初めて箱桁形式（鋼床板逆台形補剛箱桁）が導入されました。これは、一般的な吊橋で用いられるトラス形式に比べ、景観面での利点に加え、航行する船舶のレーダー障害対策、そして横風に対する安全性の確保を目的としたものです。

補剛桁の架設工事においては、工場で製作された部材を大型ブロックとして運び込み、橋梁直下の台船から直接吊り上げて設置する「直下吊り上げ工法」が採用されました。これにより、海上交通への影響を最小限に抑えつつ、工期を短縮することに成功しました。

利用上の注意と安全性

大島大橋では、気象条件、特に風速に応じて通行規制が行われます。具体的には、風速が15m/sを超えると、歩行者道とバイク道の通行が禁止され、自動車専用道路を通行する車両のうち二輪車も通行止め、四輪車は50km/hの速度規制が課されます。さらに風速が25m/sに達すると、自動車専用道路の全車両が通行止めとなります。

また、本橋梁は高い耐震性能を持つように設計されています。開通前には、地域住民の参加を得て、震度7クラスの地震発生を想定した振動実験が実施されました。この実験により、阪神・淡路大震災規模の強い揺れに対しても、構造的な安全性が確保されていることが確認されました。実験中の揺れは非常に大きく、参加者が立っていることが困難なほどだったと報告されています。

通行料金については、伯方橋と合わせて「伯方・大島大橋」として一括で徴収されます。

文献情報

本橋に関する技術的な詳細は、土木学会の専門誌などに掲載されています。例えば、1988年3月発行の『土木学会論文集』第391号に収録されている「大島大橋上部工の設計と施工」といった論文で、その革新的な設計思想や施工技術について詳細を知ることができます。

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