大島車両検修場

大島車両検修場は、東京都江東区大島に所在する、都営地下鉄新宿線の重要な車両基地です。この施設は、新宿線を走行する電車の日常的な点検から大規模な修繕まで、幅広いメンテナンス業務を担っています。また、地上部には東京都交通局大島庁舎が置かれており、新宿線の運行管理なども含めた中枢的な機能も果たしています。

地理的には都営新宿線の大島駅から専用の入出区線が接続しており、車両の出入りがスムーズに行えるようになっています。さらに、東大島駅のほぼ真北に位置し、旧中川にも隣接した場所に立地しています。

施設の歴史は1972年に着工したことに始まります。1978年6月1日、都営地下鉄にとっては3番目の車両基地として本格的に稼働を開始しました。この敷地は、かつて日本化学工業小松川工場があった場所を東京都が取得したものです。建設にあたっては、「亀戸・大島・小松川地区防災拠点計画」の一環として、地域の防災機能強化と合わせて整備が進められました。

しかし、建設工事中の1973年には、旧工場から排出された六価クロムによる土壌汚染が判明するという深刻な問題が発生しました。この土壌浄化作業は長期間に及び、完了したのは2000年になってからです。

施設の構造は、地上1階と地下1階からなる半地下構造を採用した鉄筋コンクリート造りです。地上1階部分はシェルターで覆われており、関係者以外の立ち入りはできません。地上部のうちシェルターで覆われていない一部は、大島小松川公園の一部として整備されており、災害時には広域避難場所としても活用できる機能を有しています。

大島車両検修場で実施される業務は多岐にわたります。車両の定期的な検査としては、10日ごとに行われる列車検査、3ヶ月ごとに行われる月検査、4年または走行距離60万km以内ごとの重要部検査、そして8年以内ごとの全般検査があります。これらに加え、臨時検査、故障対応、車両洗浄、車輪の形状を整える車輪転削、車両清掃なども行われています。特に、重要部検査と全般検査については、2009年4月以降、協力会社である京王重機整備に委託されていますが、東京都交通局側が全体の工程管理や最終的な完成検査、試運転などを担当しています。

検修場全体の規模としては、最大長さ約370メートル、幅約101メートルを有し、敷地面積は約40,624平方メートルです（資料によっては約37,149.81平方メートル）。建物の総面積は約62,027平方メートルで、地上1階と地下1階がそれぞれ約28,958平方メートル、加えて事務棟などがあります。事務棟は地上3階建てです。

車両の収容能力は10両編成で22本、合計220両です。

構造詳細を見ると、地上1階には車輪転削線が1線（有効長の都合で車両を分割して使用）、列車検査も兼ねる留置線（1番線から7番線）、月検査線（1番線、2番線）、臨時検査線（1番線、2番線）、全般・重要部検査線が設けられています。

地下1階には多数の留置線（8番線から18番線）と、車両洗浄装置を備えた洗浄線（1番線、2番線）があります。

地上1階部分の上部は約1.5メートルの厚さで盛土され、公園として利用されています。地下車庫からは地上への非常用出入口が6ヶ所設けられています。地下という環境のため、湿気対策として大型の換気設備が設置されており、南端の給気塔から外気が取り込まれ、場内を循環した空気は北端から事務棟屋上の排気塔を通じて排出される仕組みになっています。

この検修場に所属する車両は、現在では都営地下鉄新宿線の10-300形が中心です。かつては、初期の10-000形や10-300R形、さらには相互直通運転を行っている京王電鉄の9000系や6000系も留置されていましたが、これらの形式は車両の置き換えなどにより、現在は大島車両検修場での留置は見られなくなりました。

所属車両のほかに、構内で使用される工事重機車両や保線車両も留置されています。また、検修場内での車両の入換作業には、トモエ電機工業製の蓄電池機関車が使用されています。新造車両はトレーラーで陸送され、クレーンで地下施設へ搬入される一方、廃車される車両は京王電鉄の若葉台工場へ回送され、そこで解体されることになっています。

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